「君、可愛いね。モデルやらない?」
茶色のサングラスをした、いかにも
胡散臭そうな男が少女に近づいた。
少女は俯き加減で男に答えた。
「私、田舎から出てきてモデルなんてと
ても…。」
「その清楚さがいいんだな。スタイルが
抜群にいいし…。かなり稼げるよ?」
男は少女の腕をつかんだ。
「止めてください!人を呼びますよ!」
「やっぱり、田舎者だな。叫んでも誰も
助けてくれないよ。」
「そんな……嫌っ…」
男にどんどん引っ張られていく少女。
「止めなさい!」
長身の男性が男の手を掴み、後ろ手に
回した。
「誘拐は重罪だよ。」
「いたたたたた。わかったよ。」
男はチッと舌打ちすると去っていっ
た。
「怪我はなかった?」
「はいっ、ありがとうございまし
た!あの、お名前をうかがっても?」
「大したことしてないから。気を付け
て帰ってね。」
「はいっ//////」
「カーット!敦賀くん、京子ちゃん
お疲れ。」
「お疲れ様でした。」
キョーコは蓮と☆俗勧誘役の井上
に挨拶した。
「京子ちゃんよかったよ。敦賀くん
は本気で腕を締め上げるの止めてく
れよ。」
井上が冗談混じりに言うと蓮は
苦笑した。
「すみません。京子さんが可愛すぎ
て、つい本気になりました。」
「おやっ、敦賀くんは京子ちゃん狙
い?じゃあ、ここの男どもに教えて
やるかな。勝ち目ないぞと。」
「井上さん、止めてくださいよ。恥
ずかしいじゃないですか。」
「そうですよ。敦賀さん冗談でいっ
てるんですから。」
談笑している三人を見て監督の
新開は溜め息をついた。
(…蓮よ。あちこちで牽制して歩くより
京子ちゃんに告白したら?)
End