「あの、敦賀さん。ポーズの取り方の
アドバイスをお願いしたいのですが。」
キョーコは蓮のマンションで夕食後
コーヒーを飲みながら切り出した。
「ん？ショーに出るの？」
蓮は微笑みながらたずねた。
「いえ、実は私、今年のなりたい
グランプリで…」
「なりたい顔に選ばれた？」
「それは男性は敦賀さんで、女性はモー
子さんで…」
「パーツ別？瞳とか？」
「それはちおリンで…私は…あの…足の
綺麗な女優部門で選ばれまして…。」
「へぇ、凄いじゃないか。最上さんの足
はまっすぐ長いし、筋肉も適度について
いて完璧だよね。」
蓮はチャンスとばかりに日頃思っている
ことを口にした。
「あ、ありがとうございます…////」
真っ赤なキョーコを可愛いと思い
つつ、足と聞いて蓮は嫌な予感がした。
「選ばれたこととポーズはどう繋がる
のかな？」
「足がよりきれいに見えるようにお肌の
お手入れとポーズ考えて来てねと言われま
した。」
「それって、水着の撮影？」
するとキョーコはモジモジした。
「最上さん？」
「水着のようなランジェリーです///」
蓮はキョーコを信じられないという目
で見つめた。
「立ってポーズをするのはナツで習得済
ですが、横たわってポーズするってよく
わからなくて…。」
「判らなくていい！最上さん、純潔の誓
いはどうしたの？そんな淫らな姿をしたら
誓い破ることになるよ。」
「でも、女優は、なんでもやらないとダ
メですよね。」
「君はまだ未成年の高校生だ。むやみに
肌を晒す必要はない！」
「でも……。」
「ダメなものはダメだ！！」
「敦賀さん？」
キョーコに困った顔で見つめられて
蓮ははっとした。
「ごめん、君があまりに驚くことを
言うから。やはり、君にはマネージャー
が必要だね。」
「敦賀さん…」
「ん？」
「私、足しか取り柄ないのに足を出さな
きゃどうすればいいんですかっ！パーツ
別どれもベスト10圏外だし、胸にい
たってはなりたくない胸の3位です
よっ！」
「ぶっ………。」
蓮は思わず笑いをこらえるため右手で
口を押さえた。
「あっ、笑いましたね。そうですよ。
魅力ない女ですよっ！」
キョーコは涙目になった。
蓮は思わず彼女を抱き締めた。
「敦賀さん/////」
「最上さんは魅力的だ。もうすぐ、日
本を代表する女優になるだろう。俺が
確約する。こんなことに一喜一憂して
は駄目だ。」
「は…い。」
「撮影はやめるにしてもポーズは練習
しておいた方がいいね。さあ、俺を悩
殺するポーズをしてごらん。」
「/////////」
End