キョーコは蓮のマンションを訪れ、
いつものように食事の用意をし、
いつものように場繋ぎにテレビのバラ
エティ番組をつけながら食事をしていた。
『カップルさんいらっしゃい』
京都出身のキョーコは基本お笑い
系が好きだが、蓮が何が好きなのか
皆目見当がつかない。
マネージャーの社も何に興味を持って
いるか全くわからないといっていた。
蓮は自分から話すというタイプでは
ないのでとにかくテレビをつけて間をもた
せていた。
今日のカップルは合コンで知り合った
カップルのようで男性はわりとイケメンだ
がいかにも軽そうな男だ。
ファッションがなんとなくあいつに似て
いる。
「初キッス?そんなの即コー。当たり前
じゃないっすか。キスもされない女なんて
地味で色気ない奴じゃね?ハッハッハ。」
キョーコはキッと画面の男を睨み付け、
指差しながら叫んだ。
「あんたに言われなくてもわかってるわ
よっ!敦賀さんはあんたと違うのっ!」
「俺?」
不思議そうな顔をした蓮にキョーコは
口で手を押さえ顔を赤らめた。
「あ、いえ…言葉のあやで。なんと
いうか、えっと、敦賀さんは外国の女性
専門で…///」
怪訝そうに、しどろもどろのキョーコを
見つめていた蓮はあることに気がついた。
「最上さん、俺にキスして欲しい?」
単刀直入の蓮の言葉にキョーコは
ギクッとする。
「そんな、天下の敦賀さんに私がキス
されるなど恐れ多い…」
「いいよ、キスする。」
「へ?」
にっこり微笑む蓮にキョーコは目を
見開いた。
「わ、私達お付き合いしている訳ではな
く…」
「いいじゃないか。俺は綺麗で魅力的な
最上さんにキスしたい。」
蓮はキョーコに顔を近づけた。
「あの…敦賀さん…え?待って」
蓮はキョーコの目を見つめながら
唇にそっと触れた。
キョーコの目から涙がこぼれ落ちた。
「自信を持って。君は魅力的な女性
だ。」
「敦賀さん////あの…少し自信が
ついた気がします。」
頬をほんのり染めて上目づかいに蓮を
見上げ微笑むキョーコ。
蓮はたまらずキョーコを抱き締めた。
「敦賀さん////」
「そんな可愛い顔は反則だよ。キス以上
のことをしたくなる。」
蓮は困惑するキョーコの髪を撫でた。
「怖がらないで聞いて?俺は最上さん
が好きだ。」
「敦賀さんが私を好き?」
「ああ。好きなんて言葉じゃ足りない
よ。愛してるよ。」
「嘘です。敦賀さんが…そんな…あり
得ない。」
切れ長のセクシーな眼差しを避ける
ようにキョーコは呟いた。
「じゃあ、こんなに頻繁にマンション
にきてもらってたのどう思ってたの?
ハウスキーパーがわりに使ってただけ
と?」
「いえ…えと、そうですよ。だって敦賀
さんが私のこと好きだなんてあり得ない
じゃないですか!!んっ…」
蓮はもう一度キョーコの唇を奪った。
先ほどとは違う熱いキス。
「判ってくれないから…。まだ、信じて
くれないなら寝室に連れていくよ?」
蓮の甘く切なくセクシーな誘惑に
キョーコは唇を震わせながら蓮を見つめ
た。
「敦賀さんの気持ちは判りました///」
「そう?最上さんは?最上さんは俺の
ことどう思ってる?」
蓮はキョーコの答えを待った。
「私…ずっと片想いだと思ってました。
敦賀さんのことお慕いしてました。長い
間…きゃっ!」
蓮はキョーコを抱き上げた。
「もうダメ、我慢できない。良かった!
あと数回こんな日が続いたら君を襲って
いたかも知れない。」
「そんなに私のこと…」
キョーコは目を見開いた。
「そうだよ。社さんは俺の気持ち
を汲んでくれて、ここに来るときの最上
さんのスケジュールは翌日の午前中がい
つも休みだったでしょ?」
「あ!一年前から。その時からずっ
と?」
「そう。告白しようと考えていた。
すごいヘタレでしょ?」
「そんなこと…すごく嬉しいです。」
蓮はキョーコの言葉に満足そうに
微笑んだ。神々スマイルだ。
頬を染めるキョーコの唇に指を
当てた。
「おしゃべりは終わり…あとは…
いいね?」
「はい…////」
End
2018.10.1加筆修正