「何を呑気なことを…蓮は３年後までスケ
ジュール入ってますよ。」
松島がうんざりしたように言うと
「最上さんがどんな目にあうか…ファンも
ですが、女優たちが何をするか考えただけ
で恐ろしい。」
椹は今後のことを考えて身震いした。
「うるせえ奴らだな。さっき事務所で意
見集約して貰ったから聞け。」
ローリィ宝田は手にした紙を読み上げ
た。
「概ね好評だな。『お似合いです。応援
します。』『蓮が顔だけ女じゃなく、実
力派の京子を選んだのはいい。』『京子
ちゃん、結婚しても仕事やめないで』な
ど応援9割、『蓮の結婚反対！ファンやめ
る』『京子可愛くない！』『京子殺
す！』1割。」
「１割ひどいじゃないですか！最上さん
に何かあったらどうするんですか！」
椹が抗議した。
「日中はボディーガードをつけて婚約会
見したら蓮と住まわせる。」
「最上さん、未成年ですよ！なに考えて
るんですか！」
椹の剣幕にローリィ宝田はたじろぐ。
「椹くん、固いなあ。面白いのもあるか
ら読むぜ。『京子こと最上キョーコさん
の同級生です。最上さんは学年１の秀才
で東大にも行けます。あんまり華がな
く、女優に向いてないと思いますので引
退して一般人になるのがベストです。僕
は敦賀蓮とのことは誤報だと確信してま
す。』」
ローリィ宝田の読み上げに松島は堪え
きれず、大声で笑い、椹は顔を紅潮させ
た。
「本人たちからはだいぶ前に個々に気持
ちを聞いているんで間違いない。蓮は３
年の縛りをリセットしてハリウッドに
打って出る。最上くんは秋からアメリカ
の高校に編入させ、アメリカの大学にや
る。」
「「えーっっっ！！！」」
絶句する椹と松島だった。