例の写真を蓮に見せたが、意外と冷静
で、がっかりのローリィ。
そこに電話。かけてきたのは森住監督。
「おう、どうした？オーディション終わっ
たか？最上くんよかっただろ？」
ローリィの言葉を聞いて森住はせきを
きったようにまくしたてた。
「最初はよかったですが、いま棒立ちで
話にならないですよ。どうしちゃった
のかなあ。残りは誰だと思いますか？仁子
ですよ！あいつが紅葉じゃ崇高な作品が台
無しですよ！」
「かわいい姪にそんなこといっていいの
か？」
「本気で言ってますか？一昨年の敦賀く
んへのつきまとい、ドラマ中断騒動でご迷
惑をかけたにも関わらず穏便にしていただ
いたというのに、アメリカにいればいいの
にずうずしくもオーディションに出てきて…
一族の恥です！」
「まあまあ。最上くんの実力は本物だ。
もう少し見てくれたまえ。二人で決めた
じゃねえか。呉前くんが魅力あるタレント
や芸人や歌手を使うように京子を押そう
と。」
「そうでしたね！俺も次回作に不破尚や
レイノ使いたいんで。京子や天宮千織と
合うと思うんだなあ。」
目を輝かせる森住。
「面白そうじゃねえか。」
ローリィはにやりと笑った。
「あ、演技に入りました。大丈夫そう
です。では、また！」
森住は慌ただしく電話を切った。
(…ま、すべて予想通りだな。最上くん
には蓮のことで当て擦りを言われても
平静でいられる精神力を身に付けてもら
わないとな。あと、３年、蓮には最上く
んの恋心教えてやる予定ないからな。)
End
2017.10.9加筆修正