「敦賀さん！！」
キョーコは突然現れた蓮に驚く。
「僕が呼んだんだよ。キョーコちゃんの
様子がおかしかったから。」
社の言葉にキョーコはやはり見破ら
れていたのかと思った。
「最上さん、どうしたの？泣いてい
た？」
蓮はキョーコに近付き、頬の涙を
親指の腹で拭った。
「敦賀さん……」
キョーコは上目づかいで蓮をみた。
(…他の人を好きでもやっぱり敦賀さんが
好き)
「最上さん…」
(…不破と何があろうと俺は最上さんが
好きだ)
見つめあう二人に社や奏江を始め
オーディションに臨席していた者全員
が口から砂糖を吐いた。
「こほ…お取り込み中悪いけど敦賀くん
待っててくれる？」
森住監督の言葉にふたりはハッとす
る。
「すみませんっ、失礼しましたっ。」
キョーコは慌ててオーディションに
戻った。
蓮も照れ笑いした。
古賀はその様子を苦々しげに見てい
た。
(…敦賀くん、仁子ちゃんでいいのに。
俺、断然、京子ちゃんが好みなんだけ
ど。)
「呉前P、森住監督。俺、降板しま
す。」
(…敦賀くんの代役の上に敦賀くんの彼女
と共演なんてお断りだよ。)
End
2019.1.8加筆修正