「坊ってキョーコちゃんだったんだ!」

     驚くウメに女将は苦笑した。

    「メニューに見覚えなかった?うちの

  賄い料理もあったけど。」

     「そうですかねえ。私、坊しか見てなく

   て。女将さん、これ見てください。」

    ウメは新製品『坊の絆創膏』を見せる。

    「今日発売だったんです。可愛いで

   しょ?」

    「ウメさん、ホントに坊が好きよね。

  どこが好きなの?」

    「ちょっと気取ってて、グルメで女性の

   扱いが上手なとこですかねえ。」

    「まあ、まるで松太郎みたい。」

    「違います!松太郎ぼっちゃんと違いま

      す!」

      ウメ真っ向否定。

     「すごい、いれこみよう。」

       女将も驚く坊への愛。

    (…辛いとき、坊を見て慰められたなあ。

  あれはキョーコちゃんだったんだね。

  おおきに。)