キョーコはオーディションで素晴らしい
塵(じん)旋風からの龍爪嵐牙を披露した。
「リアル紅葉だ。」
古賀はキョーコの応用力に感服した。
こんな素晴らしい殺陣ができる女優をいま
だかってみたことがない。
骨太な感じで誘惑するのが楽しそうだ。
この紅葉は『ナツ』なのだ。いいなあ。
「京子ちゃん、俺と闘ってみない？」
古賀は後日、キョーコに勝負を挑んだ。
「いいですよ？」
キョーコは志津摩役の古賀の実力を知り
たいと思った。
オーディションと同じく刀を投げて
自身は前宙移動し、刀を受け取り
古賀に突進する。古賀はキョーコの技を
見知っていたので、容赦なく攻めこむ。
劣勢のキョーコだったが、両の刀をくるく
ると廻し、風をおこして古賀の目を撹乱す
る。彼にキョーコの姿が見えなくなる。
「！！」
キョーコの姿を探そうとした瞬間、首も
とに冷たいものが。
首に刀の先が当てられていた。
「志津摩さま、油断は禁物ですよ。」
その微笑みは未緒だった。
脂汗が引かない古賀。
「どうしたの？古賀くん。」
「監督、俺に志津摩は無理なので降板
させていただきます。」
End
2019.7.20加筆修正