嬉しそうにやってくる敦賀さん。
「君と話したくて…。ちょっといい?」
「ああいいとも……。」
超多忙の敦賀さんが『鶏』になんの用事が
あるというの!
「君にはお礼を言おうと思って」
「へ?」
最近、敦賀さんに『鶏』姿でお会いしてな
い!!
「大切な存在のこと。覚えてるかな?」
「あ、あ。高校生の?もう3月に卒業じゃ
ないか?」
「いや、来年の3月卒業なんだ。事情が
あって。」
留年?売れ過ぎて高校に行けないとか?
芸能コースじゃないのかな。
「実は、いろいろなことがクリア出来
て、彼女に告白しようと思うんだ。」
「!!…。へえ……。よかった、ね。」
キョーコは絶句し、絞り出すように返し
た。
『鶏』の姿の時でよかった。体に震えが
きて、涙も零れ始めた。
「ドラマで共演するので、その時に。
バレンタインデーにチョコを貰えたら
ね。」
「君にチョコをあげないひとなんていな
いだろ。」
キョーコはすっかり、なにもかもがいや
になり、投げやりにいい捨てた。
「ところが、彼女から貰ったことなく
て。だから、もぎ取ろうと思って。」
蓮は神々スマイルを浮かべながら、キョー
コにウインクしてみせた。
「がんばれよ。」
蓮に背を向けて、手をあげた。
男前なポーズだ。
「ありがとう、これからもよろしく!」
キョーコは蓮が去っていくと、地面に
崩れ落ちた。
(…だから恋なんかしたくなかった…。)
バレンタインデーには月9の生放送が
ある。その時に告白するというのか?
あまりにも酷すぎる。神に逆らっても
と言ったが、あまりにもひどい仕打ち過ぎ
る。ああ、当日休みたい。ゲストだし、
モー子さん代わってくれないかなあ。