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カッキーと話したくて、昼休みに美術棟に行った。渡り廊下を越えて6組に向かった所で、スマホを持って走ってくるカッキー発見。ツイてるな、今日は。

「ショー、ちょうど今行こうと思ってた。この街角ピアノ、お前だろ?」

「んっ?見して」

ちょうど池田兄さんが入ってきたところから、始まってる。

「このシャツと髪、ショーだよな」

斜め後ろからで顔は映ってないけど、知ってるヤツが見たら直ぐバレる。

「あぁ、確かに」

「なんで?デートの日に」

「青木のリクエストで」

「練習してったのか?」

「いや、その場で弾ける曲をテキトーに」

「即興?すげーな」

「すごいのはこの人だよ、いきなり入ってきて」

「初対面?」

「ウン。昭和音大のジャズ科の人。連絡先、交換した」

「昭和音大って新百合じゃん」

「そう。偶然だけど」

「フーン。ショー、こんなにピアノ弾けんのに、なんでパンクやってんの」

「それは…、好きだから。あっ、でもジャズも好きかもしんない。この時、思った」

あの、不思議な感覚。

「ショーってさ、コンビニのチャイムの音とか、マックのポテト揚がるときの音、すぐピアノで再現出来るよな」

「あぁ、まあ」

いつだか、練習室の待ち時間にふざけてやったやつ。

「絶対音感か。こんな身近にいたとは」

「耳だけはいいんだ、チビの頃から。音楽棟には結構いると思うけど」

「いねーよ。!ややや、再生回数、増えてきたぞ。昼前まで3000が、7000超えた」

「誰だよ、勝手に。このタイトルもちょっとイラつく(笑)」

「[街角ピアノin関内‐パンク少年と音大生のコラボ/夕暮れのビリー・ジョエル]、か。削除して貰う?」

「顔映ってないから、別にいい。池田さんのサックスもっかい聴けるのは有り難いし」

「そっか」

そうだよな、俺なんて通りすがりのただのパンクス。絡んで格好よくしてくれた池田さんに感謝。




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