‐‐‐‐‐‐‐俺と青木‐‐‐‐‐‐‐

「学校まで競争だ。俺に勝ったら話す」

長距離は苦手だけど、とにかく今は話したくない。

「よし、オレ、マラソン得意だぜ」

自信満々のハマー。

「短距離じゃショーに敵わねーけど、オレもチャンスあるかも」

ヒデも笑顔。

「よし、じゃあ、学校に一番近いバス停まで」

校門に三人で駆け込んだらアホだよな。

「スタートは?」

「そこの信号が青になったら」

「オッケー」

このクソ暑いのに、何やってんだろう。でも、守りたい、俺と青木とのこと。

「スタート!」

俺と青木
俺と青木

いつの間にかユニットで考えてる。

「ショー、飛ばしすぎ!」

「もたねぇぞ!」

知るか。自分だけじゃない、あの子のためなら、頑張れる。

しっかし、駅からクソ遠い!

大通りを駆け抜け、住宅街に入り、少しスピードを落とすと、足音が近づいて来るのがわかった。ハマーか?

「おーし、射程圏内!」

やっぱハマーだ。そうはいくか。脚の古傷が痛んだが、力を振り絞ってもう一段ギアを上げた。

「おい、マジ?」

驚いて上げた声が徐々に遠ざかる。

「はー、もう無理。絶対なんか有ったろう!くっそ」

やった、戦意喪失か。

スピードを落として、ゴールのバス停に近づくと、ちょうどバスが緩やかに入ってくるところだった。

いるわけねーし、と思いつつ、降りてくる女子の中に、いつものクセで想い人を探す。

探して、気づいた。
俺、カオリンじゃなくて、青木のポニーテールを探してる。

そっか。

やっぱ、やられたな、俺。



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