‐‐‐‐‐‐‐恋心‐‐‐‐‐‐‐

「遅かったじゃん」

余韻に浸りたいのに、リビングのソファで寛ぐ兄貴が興味津々の視線を送ってくる。

「楽しかった?」

母もニコニコして話を聞きたそうだ。

「ああ、メッチャ楽しかった。シャワー浴びてくる」

いつもはシャワーで簡単に済ますが、今日は湯船に漬かりたい気分。

長くて、刺激的な一日だった。
どこかに遠出した時って、戻ってからのいつもの日常がほんの少し刷新されて、違って見える。見慣れた風景が、なんか新しくなるんだ。時間が経つにつれて、いつのまにか消えてしまうんだけど。それがまだ続いてるってことは、俺の短いヨコハマ・ジャーニーはまだ終わってない。湯船の中で、浴室の壁を見ながらぼんやり考えた。

いい子なのは、わかってたんだ、出掛ける前から。一緒に過ごして、いわゆる相性がすごくいいことも、わかった。

関わった人間に、直ぐ情が湧いてしまう自分の性格から、デートする=よっぽど嫌なヤツじゃない限り、お試しオッケー→付き合う流れになる予感は有った。
しっかし、こんなにも簡単に?

やっぱ俺、チョロい。
女子に免疫無さすぎ。
ウブ、だから?

クッソ!
湯船に頭から沈み、自分の不甲斐なさを、呪った。


何処へ行くんだよ…

俺の、恋心。




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