‐‐‐‐‐‐‐ランチ・横浜①‐‐‐‐‐‐‐

「あ~、腹へった」

「ゴメンて。私も、お腹すいた~」

「地図読めないのに、見なくていいよ」

「読めるよ!確かにちょっと苦手だけど」

「ちょっと?」

へへ、とイタズラっぽく笑った。

「2回くらい中華街に来たことあるから、知ったかぶりしてみたかったの」

「俺も多分2回くらい」

「最近?」

「しゅうくん位のとき」

「そっかー。可愛かったろうなぁ」

「俺?」

「うん。童顔って言われない?きっとそんなに顔変わってない」

「言われない」
澄まして答える。ホントは、親戚とか近所のオバチャンにはメッチャ言われてる。
もう少し睨みのきく顔面だったら舐められないのにな、と恨めしく思うこともある。

「あった!西遊記」

ようやく目的の店に着いた。香港系のレストランか。

「面白い名前だね、孫悟空が出てきそう」

「お二階へどうぞ」

にこやかな女性に案内され、窓際近くの席に座った。

「さー、クレープあるかな」

「餃子も美味そうだ」

「あった!けど量がわからない。巨大だったらどうしよ」

「食べるの手伝うよ」

真・剣。
これを最後にしばらく食べられないかのような、念入りな選び方。ダメだ、この子、面白いw。ツボる前に、自分の決めよう。

丹念にメニューを眺めて、ようやく例のクレープとチャーシューまんを選んだ青木。

「散々悩んだ割には少ないな」

「様子みて、イケそうだったら麺類もいきたい」

おっ、頼もしい。