‐‐‐‐‐‐‐おむすび‐‐‐‐‐‐‐

「俺、いいや、そういうの」

「まぁ、とにかく楽しめ」

「言われなくても」

「結婚とか将来とか、色んなしがらみ考えないで純粋に『好き』だけで付き合える時期だよな、ちょっと羨ましいな10代」

「オッサンみたいなセリフ」

「コラ(笑)」

「そこそこモテるからって、調子こいてると禿げるぞ」

「確かに。オレ親父似だからヤバイな」

キッチンから母がニコニコして出てきた。

「翔ちゃん、おむすび何個作ろうか」

「相手の子と一緒に食べるから、一人あたり6個位、12個かな。二口サイズ位の小さめでいいよ」

女子が食べてる、信じられない位に少量のお弁当箱を思い浮かべていた。女子ってなんで年中ダイエットしてんだろう?

「どうして、おむすび?」

「横浜に行くんだけど、よく分かんないから、待ち時間とか、小腹が空いた時のために。公園とかも行きたいし」

「いいね。ママがその子なら、嬉しいと思う」

なんか目からハートマークが消えない。韓流ドラマとか観すぎー。

「明日朝、作り方教えて。一緒に作る」

「翔ちゃん」
嬉しそうに微笑む母。

「翔ちゃ~ん。オレの分も作って」

「ウルセー」