‐‐‐‐‐‐‐特別‐‐‐‐‐‐‐

週末までの数日、何となく青木が気になって、つい目で追ってしまった。

そうすると、かなりの確率で目が合うことがわかり、ちょっとドキドキした。
そっか、今俺がしてる感じで青木は俺のこと、いつも見てくれていたんだ。

ADHD気味の俺は、集中力を保つ為に変なタイミングで頻繁に居場所を変えたり、逆に音が出そうなほどボーッとして大事なことが抜け落ちたり、時々かなり挙動不審だと思うんだが、そういうのイヤじゃないんだろうか。

いつ目が合っても、嬉しそうに微笑んでくれる。表情がわからないくらい遠目でも、俺を見つけてジャンプして手を振ってくれる。
そうした子どもっぽい無邪気な振る舞いに、自分が結構弱いことに気づかされた。

本多は、青木のどのへんに惚れたんだろうか。中学からずっと好きだった、と噂で聞いた。一見強面だけどそこそこモテるアイツが、あれだけ執着するんだから、青木は本多にとって「特別」なんだ、きっと。

出席番号が早い子特有の、そつのない社交性・順応性、明るい笑顔の、親しみやすさ。容姿の可愛さ、ヒデも注目してたスタイルの良さ。リーダーシップ取れるけど、キツくなりすぎない温かみ、女子友達の多さ。なんだよ、すっげぇイイ子じゃん。

本多は、元々はサッカー部だったのに、わざわざ青木のいるバスケ部に変更する位の思い入れ。そんだけ入れ込んでるのに、俺みたいな変なのに青木がコクったと聞いて、そりゃーブチキレるわな。抹殺したくなるくらい。

でも、人の気持ちなんて、変えようと思って変えられるもんじゃない。俺が消えたからって、青木が振り向くかといったら、答えはノーだ。

好きになるきっかけって、何なんだろう。

顔?声?仕草?話す内容?運動神経とか、頭の良さとか、持ってるスキル?

俺なんか、一体どこが良かったんだろう。

デートの時に、聞いてみようかな。

ADHDのことも、嫌われるの覚悟で、話しておこう。

話しておくべきなんだ。