‐‐‐‐‐‐‐お試し‐‐‐‐‐‐‐
直接言うって、いざ自分に当て嵌めると、難易度とんでもねぇな。青木、マジ、リスペクト。しかもそんなにガッチガチじゃなかった。
「コクんのって、勇気いるよな」
「ああ。手応えや勝算ないと、厳しい」
今日って、もしかしてチャンスだったのかも。呼び出さずに、二人になれるチャンスなんて滅多にないのに。あー、もうバカバカバカ!
「フォォォ…!」
言葉にならない呻きが漏れた。
「どした?大丈夫か?」
吹き出すカッキーを見ながら、コクってくれたあの日の青木の可愛さを思った。普段はポニーテールの髪を下ろして、なんかキラキラオーラ出てたな。
あれは、あのキラキラは、俺を好きだから?
なんか、もったいない。
こんな、グラグラしてるやつに、もったいない。
「お試し」は、俺だけじゃなくて、青木にとっても、そうなんだ。一緒に過ごして、向こうが俺に失望する可能性だって、アリ。
「とりあえず、「お試し」がんばってこいよ」
「ん、がんばる」
ウンコ小学生たちをたしなめに戻るカッキーの背中を見ながら、俺は「師匠!」と呟いていた。
LINEに送ってくれたデートに使えそうなお薦め施設やショップ情報の他に、ウブな俺のため?いくつかカッキー流のデート心得が添えてあって、そのどれもが、すごく参考になった。