‐‐‐‐‐‐‐モテ期‐‐‐‐‐‐‐
「ライバル?」
「誰かは言えないけど、クラスに他にも、ショー推しいるよ」
「マジか。女子?」
「あったり前じゃん!笑」
背中をバシーンと叩かれた。イッテ、加減しろ!バスケ部。
その後、駅前のマックに寄って、二人でソーダフロートを飲んだ。たわいもない話でゲラゲラ笑い、過ごす時間は楽しかった。
駅の改札で別れたが、ふと振り返ると、別れたその場から動かず、めっちゃ手を振ってきた。
俺のこと好きって、ドッキリじゃなくて、マジなのか?
ちょっと勿体なかったかな、と不埒な考えが頭をよぎったが、振り切った。
マックに寄ったとき、カオリンいないかな、と無意識に店内を見回した自分。そんなん、やっぱダメだ。
この先どうなるかわからんけど、見切り発車は絶対にしない、俺ルール。
「俺ルールとか言ってんじゃないよ、もったいない!」
ベースのことで訊いてきたヒデに話したら、変人扱いされた。
「断ったっていうか、今すぐは無理って話」
「断ってんじゃん。青木からコクられて受けないとか、理解不能」
「いいよ、わからんでも」
「女子から来るって、マジラッキーじゃん。悔しいけどオレそういうの、ねーわ」
「ヒデだって、臼井ちゃん推しなのに、他にパッといけるか?」
「あー、わからんけど、お試しには乗っかるかも。せっかくだから」
「据え膳食わぬは…ってやつ?」
「そうそう」
「そういうの、ヤバイよ。なんせ迷宮だからな」
「何?」
「人の気持ちは、取扱注意ってこと。フラジャイル」
「ブラジャー?」
「バカ(笑)、壊れもんだよ!」
壊したら、取り返しがつかねぇんだよ。