‐‐‐‐‐‐‐信頼‐‐‐‐‐‐‐

信じてもらうと、その人の為に頑張ろうって思える。

疑われたり、初めから能力を否定されると、頑張っても無駄だって、無気力になるよな。

きっかけはサイアクだけど、すごく大事なことを教わった気がして、放課後、帰る前に平間先生にお礼を言いにいった。

「先生」

「あっ、槙田くん。今日はゴメンね、色々」

「先生はなんも悪くないよ」

「すっごく嫌な思いをさせたね、せっかく頑張ったのに」

「いいんです、お陰で…」

疑いが晴れて、友達にもわかってもらえて、ヤナギダの偏見も跳ね返すことが出来て…

色々お礼を言いたくて来たのに、先生の、俺を見る嬉しそうな、一点の曇りもない笑顔のキラキラした目を見たら、何だか胸の辺りがギュッと詰まって、よくわからない涙が、溢れた。

ダッセ、なんだこれは。


「…助かりました」

言いたいことの半分も言えず、涙を流す俺を、先生が静かに見つめていた。



「先生、ありがとう」

先生は、黙ってニコッと微笑んでくれた。


「信じてくれて」

「そんなの、当たり前じゃない。槙田くんだもの」


言葉で、抱き締められた気がした。

目に涙を浮かべてヤナギダに激怒してくれた先生。

自分じゃない誰かのために怒れる、必死になれるって、カッコいい。

先生みたいな、大人になりたい。

帰り道、サンボマスターを聴きながら思った、あの日。


♪できっこないを やらなくちゃ ‐ サンボマスター(2010)

どんなに打ちのめされたって
悲しみに心をまかせちゃだめだよ
君は今逃げたいっていうけど
それが本音なのかい?
僕にはそうは思えないよ

何も実らなかったなんて悲しい言葉だよ
心を少しでも不安にさせちゃだめさ
灯りをともそう

あきらめないでどんな時も

君なら出来るんだどんな事も
今世界にひとつだけの強い力をみたよ
君ならできない事だって
出来るんだ本当さウソじゃないよ
今世界にひとつだけの強い光をみたよ
アイワナビーア君の全て!