この頃よくサイトーのことを、考える。
「いいヤツは、いっぱいいるよ。ただ見た目がイマイチだから、気づかないだけで」
男子一般をディスろうとしたウチに、男子代表みたく反論したサイトー。サイトーは、男子友達多いもんな。みんな、たすく、たすくーって。
本当にそうなのかもしれない。
見た目でハジかれがちなメンズの中にも、男気があって、誠実で優しくて、女子が求めるものを確かに持ってる人が、きっと沢山いるはず。考え改めよっと。
そうだよ、とことん不細工な人なんて、実はいないんだよね。みんな何かしら、その人にしかない魅力がある。だから、似合うスタイリングをすれば、みんなそこそこイケるんじゃない?サイトーはちょっと化けすぎだけど。
「サイトーってホントに、いいヤツだね、ニャーム」
「ゴロゴロ……」
☆声フェチ☆
「どうした?恋わずらい?ハハ」
はぁぁぁ、ため息ついたら、アヤに言われた。
まぁ、そんな感じ?アヤはいいなぁ、両想い。
夏休み明けには、きっとシーナくんとサワちんはカップル。サイトーみたいに二人の幸せを祈りたいけど、それでもやっぱ辛いわぁ。
「アヤは、ヨッチャンのどこが良かったの?」
「んー、色々あるけど、まずは、声」
「声?」
「シーナたちとジャムった時、ヨッチャンの歌聴いたらゾクゾクしちゃって」
「苦手なロン毛も気にならないくらい?」
「アハハ、普段から喋る声が好きで、気になってたんだよね。歌で一気にヤられちゃって」
声、ねぇ。そういえばウチも、シーナくんのハスキーな声、好きだわ。
「声って結構大事だよ。トシ取ってもそんなに変わんないからね」
「なるほど。イケメンでも声が変に甲高かったら、ちょっとイヤかな」
「アッハハ、そうそう」
声。サイトーの声も好きだな。ちょっと低めで、響きが優しくて、聴くとホッとする。
なんだか、サイトーのことが、気になる。