おそらく生涯最大のモテ期かもしれないのに、今好きなのがシーナくん、男子って!
なんて間が悪いの?サイトーってば(笑)。

寄り添って歩く二人は、いわゆる腐女子の好きな、BLカップルに見えなくもなかった。
どっちが攻め?受け?とか、よく知らないけど。

サイトーはシーナくんが好きだから、シャレになんないじゃん!アタマをぶんぶん振って、変な妄想を打ち消した。

二時間目の化学の教室移動のときに、知佳に声を掛けられた。

「マユー、ビックリしたよ」

「ああ、サイトー?」

「ねっ、二人付き合ってんの?」

「ナイナイ!幼なじみ」

「ふぅん、斎藤くん、カッコいいよね。アタシ、いってみようかな」

無理だと思うけど。ヤツは今、シーナくん推しだし。

「いいんじゃない?」

「ありがと!」

知佳もシーナくん推しじゃないっけ?
変り身、早!

カッコよければ誰でもいいのかな?
アンタは、サイトーの何を知ってるの?

知佳が笑顔で去ってからも、何だかモヤモヤした。

でも、ウチだって、シーナくんに一目惚れして、待伏せしたり、勝手に色々妄想したり…。話して益々好きになったけど、取っ掛かりは、見た目。

見た目が良い人って、大変なんだ。
不特定多数の相手からの、色んな妄想や恋慕を、日常的に浴びるって、しんどいよね。
本当に自分が好きなのか、勝手な思い込みで迫って来てるのか、自分で見極めなきゃならないし。

それを商売にしている、アイドルって、凄いな。メンタル鋼じゃないと、無理。ストーカーに遭ったりするもんね。