☆デビュー☆

次の日、朝から暑くて今日はバスにしようと乗場に行くと、ニコニコした由依が待っていた。

「マユ、おはよ!」

「おはよう」

めっちゃ笑顔。何か言いたそう。

「一時期、元気ないから心配してたんだ。よかったね」

「何が?」

まだカンチガイしてる。
実物よく見たら、きっと気づくはず。
サイトー、あのアタマで来るかな、今日。
ついでにつんつるてんのズボン丈も、サイトーママに直して貰ってたら完璧なんだけど。

学校前の坂道に差し掛かったときに、バスの窓から、シーナくんと肩を並べて歩くサイトー発見。おっ、ヘア・スタイリング、上手いじゃん。何ならちょっとやり過ぎた昨日よりナチュラルで、素敵。シャツの着こなしも、カッコいい。ズボン丈も…直ってる。今日もコンタクト?えー、ヤバイ、これは女子がほっとかない。

「由依、見て。知佳が駅で見かけたのって、サイトーじゃない?」

指をさすと、

「え?あの塩顔イケメン、斎藤佑?もろ、タイプなんだけど」

バスから降りて、校門の近くで、サイトーとシーナくんに会えた。

バッチリじゃん。親指立てて、ウインクしたら、ホッとしたようなサイトーの笑顔。ウインク下手だなぁ、ウチ。何か口が開いちゃうんだよね。

「何?二人で目配せして、意味深じゃん。いいなぁ、マユ」

由依が嬉しそう。周りの女子もチラチラ、サイトーを見てる。予想を遥かに超える反響。

教室に入ったらアヤが、

「シーナとつるんでたの誰?ウソ!サイトー?いいね、髪型」

髪型変えてメガネやめて、ボサボサ眉ちょっと直しただけでこんなに変わるなんて、どんだけダサかったの、サイトー?[