「ちょっと、いじらせてくれる?髪とネクタイと、メガネと…コンタクトレンズしたことある?」

「部活の練習用に持ってるけど」

ヤッター!メガネがなければだいぶイメージ変わるはず。

予想に反してスタイリングをウチに一時的に任せることに、素直に同意してくれた。

鏡があって、明るい個室で男女兼用なところ。駅近くのデパートOPAのプリクラコーナーに、とりあえず向かった。

「ちょっと髪、触るね。屈んでくれる?」

「ん」

158cmのウチとは身長差、少なくとも20センチはありそう。何もつけていないサラサラの短髪に、ワックスをつけて分け目をランダムに乱し、後方に向けて立ち上げる。

「オデコちょっと出してみようか」

されるがままに目を瞑った姿が、何か、カワイイ。これって、大型犬を手懐けたような感じ?
メガネを外して、これまた手を加えたことの無さそうな眉にそっと触れると、ピクッと反応した。

「あっ、ゴメン」

「いいよ」

嫌かな?
表情を見ながら交渉し、下がった眉尻を整えさせてもらうことに成功。男子であんまりキメキメの細眉ってヤだから、元の良い形を生かしてなるべく自然なカーブで。

わー、何か楽しい♪
元がいいもん、絶対カッコよくなるよコレ。

「目、開いていいよ」

ゆっくり開けたサイトーの、切れ長の目と視線がぶつかり、ちょっとドキッとした。
目がきれい。メガネで隠すの、やっぱり勿体ないね。