医務室に着いて、左側頭部にできたコブを冷して貰った。
「少し休んでいきなさい」
医務室の先生の勧めに従って横になった。
「センセー、俺あとで迎えに来ます、家近いし」
笑顔で話すシナユー。
「その方がいいね、頭だし、心配だから送っていってあげて」
シナユーが俺を迎えに?
スゲェ痛かったけど、このシチュエーション、嬉しすぎる。
「オレとぶつかったヤツは大丈夫なのか?」
「田辺?何ともないらしいよ」
バスケ部のアイツか。ナイス!石頭。
鎮痛剤が効いてきたのか、急に眠気が襲ってきた。
倒れたときと逆で、体がふわんと浮き上がるような不思議な感覚。幸福感に包まれながら、オレは眠りに落ちていった。
----------------病院----------------
「佑、気分どうだ?」
目覚めると、シナユーが傍に座っていた。
「ん、大丈夫。お前、練習は?」
「今日はそろそろ終わり、抜けてきた」
「いいのかよ」
あんなに佐久間とサワちゃん二人にするの嫌がってたのに。
「今いけば、まだ間に合う。起きれるか?行こうぜ」
「どこに?」
「病院に決まってんだろ」
シナユーに促され、登戸駅近くの、脳神経外科にやってきた。
「佑、保険証持ってるか?」
「財布にコピーが入ってるけど」
「ひとまずコピーがあればオッケー、行くぞ」
「やっぱ、いいよ。もう痛くないし、めんどくセー」
「絶対そう言うと思った。あとでなんかあったらどうすんだよ」
真剣な眼差しに気圧されて、気が進まないが中に入って受付を済ませた。