駅を出て、ちょうどいいバスがなく、ひたすら走る。

しばらく走ると、前方に見慣れた天パを発見。細身だが肩幅の広い背中にカバンを担ぎ、長い手足をゆったりと運ぶ。

間違いない、シナユーだ。 時々会うが、なんでまた、今日に限って!

しかも、けっこう際どい時間なのに、全く急いでいない。アホか。夢のこともあり、気まずくて、声がけもそこそこに一気に追い抜いた。

いつもは怠そうにタラタラ走ってくるのに、予想に反して、今日のアイツは本気で追ってきた。

「陸上部にかなうわけねーだろ!」

「うっせーな!佑は短距離じゃんか」

抜きつ抜かれつ、張り合うように校門を目指し、二人ともどうにか間に合った。

顔を見合わせ、息を弾ませて、笑い合った。
坂道ばっかの学校周り、マジ、キツかった。

「やるじゃねーか」

ギリギリ、オレが勝ったが、ヤバかったので健闘を讃えると、

「だろ?元ドラマー舐めんなよ」

ふわっとした天パの前髪をかきあげ、紅潮した頬に汗をキラキラ光らせながら、

「次は負けねーぞ」と不敵に笑う顔が…、うぁー、かわいい(悶絶)。


オレのシナユー、シーナ。


ノンケだのなんだの、もうどうでもいい。




好きだ。