俳優・演出家の野々下です。
私は、どんな稽古を行っているかが作品作りの成否に大きく関わると考えています。
2024年9月14,15日に行われた、物語る演劇第一弾「セールスマンの死」を終えて、
2010年から2023年まで行ってきた構成演劇から、物語る演劇に移行したことで変わった稽古方法を整理したいと思います。
わかりづらい部分も多くあると思いますが、お読みいただければ嬉しいです。
□基礎トレーニング=演技や演劇的センスの共有・すり合わせ
■チームづくり
●作品創りには、お金、時間、アイディア、行動、発言の投資が必要。今はまだ形にならないが未来や稽古場の時間に投資する感覚を全員で養っていきつつ、しっかりと感じられる楽しさや魅力や素晴らしさを生み出す。以上のことをゲームや対話やワークショップを通じてすり合わせチームの共通認識を創っていく。
■身体
●ボディコントロール、相手との距離感・関係性、お客からの見え方
■発声
●声量・高低・緩急・ニュアンスのコントロール、空間感覚に合った声、お客への聞こえ方感じ方
□原作を読みこむ
※調べ学習:台本を丁寧に読み、わからない単語や、理由がわからない部分を資料(本・音楽・絵画・動画・映画など)を見たり読んだりして解明する。
■分析Ⅰ
●時代
●国
●作家
■分析II
※わからないまま演技しない癖をつける=能動的に作品世界に入っていく:演技は具体性が重要。国語の音読のようになんとなく読み聞かせるのではなく、自分の内面が動く・動かないを感じながら本読みを行う。その際に意味や理由やバックボーンがわからないのに読まないようにする。
●5W1H
●役の感情
□魅力を作り出す
■分析Ⅲ→創作
●初演時の面白さ
●多角的にみて面白さを作り出す(ネタだしⅠ)
●現代性とは
□現代・自分を混ぜる
※初演時の「昔の演劇」から、俳優・スタッフが考える「今の最高の演劇」に作り変えるために、分析を活かし様々なアイディアを、既成概念(ゴールや統一性や原作の古くからのイメージ)にとらわれず、個人個人が面白いと思えるように出していく。
※個々が考える面白さを言語化・ビジュアル化・音声化・シーン化していくことが、面白さという曖昧模糊としたものを集団で把握し、意識し、ブラッシュアップし、さらに面白くしていくというモチベーションを持った集団を作るために必要。そこには「参加する」というWS参加者の姿勢ではなく、「創る」というアーティストの姿勢が必要になる。:
■分析Ⅲ→創作Ⅰ
●俳優・シーンリーダー・ダンサー・音楽家・演出・大道具・小道具・照明・音響・映像としてシーンの面白さを作り出す。
◯構成種類・シーンを分けてネタだし。
※演出が主導権を握ると全体稽古の時以外ブラッシュアップができないチームになってしまう。小屋入り2週間前までに完成させるように、スケジュール感覚をもち、空き時間や、シーン別稽古を組んで、そのシーンの出演者の中からリーダーを選び恒常的にブラッシュアップを行えると良い。
※自分のシーンがもう少し時間があったらもっとこう良くなったと感じることは、ブラッシュアップに必要なスケジュール感覚がついてきている証。
・ルパム:シーン選び・コンセプト・振り出し・選曲・構成・面白さのブラッシュアップ
・ショートシーン:シーン選び・コンセプト・演出・面白さのブラッシュアップ
・エチュード:シーン選び・ルール・面白さを言葉・ルール・身体など定義共有し個人技に頼らない・ブラッシュアップ
・モノマネ:シーン選び・具体的に顔・声・喋り方・口癖・基本姿勢・癖を自分から変える・職業・年齢などその人の社会的な部分をネタに混ぜ込む・面白さのブラッシュアップ
・ショートストーリーズ:シーン選び・いつどこ誰事件を持ち寄る・ストーリーを創る・演出・面白さのブラッシュアップ
■創作Ⅱ
●ネタだしⅡ:コンセプトや方向性にとらわれずに、シーンよりもさらに短い時間のスパンを魅力的にする方法をそれぞれの俳優が持ち寄る時間を創る。
Ex:シーンという時間軸ではなくキャラクター、ミザンス、セリフの言い方、小道具、効果音、音楽、照明、衣装など、シーン全体へのアイディアじゃなく一部のアイディアをネタ出ししていく。
■創作Ⅲ
●抜き・返し稽古:ここまでにシーン(時間の区切り)を決めておき、区切って繰り返し稽古する。
●シーン稽古ではない稽古
◯ミザンス稽古・ネタだし
◯キャラクター稽古:役者ごとに役のネタだしを行う時間。顔・声・喋り方・口癖・基本姿勢・癖を自分から離す。5W1Hを役の観点で通していく。通していくとどこを立てるべきか、どこが役の見せ場のシーンなのか、どこが一番ハイテンションか、大きい声を出すところか、などが見えてくる。
■創作Ⅳ
●全体性
◯相似をなす要素をどういった相似形にできるか考える。
ウイリー・ベンとハッピー・ビフ
ウイリー・リンダとウイリー・女
ウイリー・ビフとカーラ・バーナード
など。
◯どのシーンが一番立っているのか?そのシーンよりもどうすれば他のシーンも立つのか?
同じように叫んだり、同じように激しく動くことが立たせる方法ではない。逆の面白さの方向や、違う面白さの方向のベクトルを創っていく。
◯この芝居の目的と面白さを再考し仮決定する。
◼️創作Ⅴ
●目指すべき抜き稽古
◯スタッフワークも含めた、より目立たさせる、より魅力的にする、より伝わるようにする作業を、各セクション、各個人が同時多発的に行っていく。
●目指すべき通し稽古
◯各セクション、各個人が同時多発的にこの芝居の目的と面白さを作り出す行動をし続ける。
◯振り返りを行うことでブラッシュアップポイントを導き出す。→次回の抜き稽古ポイント→通し稽古。
◯通し稽古の動画を観て、役、シーン、芝居全体のブラッシュアップポイントを自分で書き出し稽古に臨む。
以上。
2025年の本公演には上記を行える座組で臨みたいと思います!
創作に関わる方でさえ、何のことやらという感じかもしれませんが、今回の公演がどう創られたのか、今後どう創られていくのかを知ってもらえたらと思い書きました。
シンプルに一生懸命、考えて、稽古して、振り返って、より良いものになるアイディアを出して、いい作品を創りと思います。
お読みいただきありがとうございました。









