仙台シアターラボ公演 物語る演劇「るつぼ」のご案内


仙台シアターラボ野々下です。
昨年の『セールスマンの死』に続き、題材に選んだのは、
アーサー・ミラーがセイラム魔女裁判を描き、マッカーシズムの寓意として受け取られた『るつぼ』
原作の物語を活かし、構成演劇によって培われた演出方法で20世紀の傑作に挑みます!
今作の主人公ジョン・プロクターを演じるのは野々下孝。
セイラム魔女裁判の最高責任者であるダンフォース副知事を戸石みつる。
魔女狩りのエキスパートヘイル牧師を伊藤広重。
サスペンスやホラーとして描かれることもある『るつぼ』をベテラン俳優陣の力を借りて、人間味あふれるヒューマンドラマとして描きます!
現代社会の苦さや複雑さから目を逸らさず、絶望する人々に希望を灯すアメリカ近代劇の代表作。
是非劇場にてお楽しみください!
作品詳細 https://sendai-theatrelabo.com/performance/%e3%82%8b%e3%81%a4%e3%81%bc/
予約 https://sendai-theatrelabo.stores.jp/?category_id=68022bb66fd7379e0041b675
以下に日本で上演が少ない『るつぼ』について紹介しています。
ご参考にしていただければ幸いです。
【『るつぼ』作品紹介】
■題材
『るつぼ』は、現在のアメリカ合衆国ニューイングランド地方のマサチューセッツ州セイラム村で1692年3月1日に始まった一連の裁判である、セイラム魔女裁判を題材にした作品です。
200名近い村人が魔女として告発され、19名が刑死、1名が拷問中に圧死、2人の乳児を含む5名が獄死し、近世キリスト教世界の広い範囲に及んだ魔女裁判(魔女狩り)という現象の植民地アメリカにおける例であり、犠牲者数はヨーロッパの事例と比べれば際立ったものではないものの、現代では近世の魔女裁判の中で最も有名な事件であると考えられています。
■作品のジャンル
寓話であり、ホラーやオカルトのようにも感じる作品を仙台シアターラボは、閉ざされたコミュニティーで起こる厳格なピューリタニズムの暴走や、社会的弱者への圧力が招いた爆発といった社会派ドラマとして描いています。
■あらすじ
◆第1幕 パリス牧師寝室
舞台は1692年、北米大陸北東部のマサチューセッツ州セイラム。
春まだ浅い深夜の森で、アビゲイルら少女たちが全裸で踊っているのを、牧師のパリスが発見する。
当時のマサチューセッツ州はピューリタンの信仰が厚く、そのようなはしたない行為は神への冒涜とみなされていた。しかも少女たちの一人、パリス牧師の娘のベティが意識不明となってしまう。パリス牧師はただうろたえるばかりで何も対処できない。そのうち悪魔払いのヘイル牧師がかけつけ、村中が大騒ぎになる。そこに村の問題――不義の関係を持ったジョン・プロクターに対するアビゲイルの恋心などが坩堝のように絡み合った結果、少女たちは村の人々魔女だとして告発してゆくことになる。
◆第2幕 プロクター家居間
アビゲイルらは聖女扱いされ、セイラムでは無実の人々が次々と逮捕、処刑されている。アビゲイルとの不義からジョンと妻エリザベスの関係は気まずく、さらにパリス牧師への反発からプロクター夫妻が教会に行かないことをヘイル牧師に指摘されて、エリザベスも魔女の嫌疑をかけられてしまう。告発者の一人である下女メアリーの言動から、一連の魔女騒動がパトナムやアビゲイルの陰謀であることに気付くが時すでに遅く、役人の手先であるパリス牧師によってエリザベスが拘引されてしまう。
◆第3幕 セイラム法廷控室
ジョンは判事のダンフォースに妻の赦免を願い出る。ジョンはアビゲイルと対決するが、言い争ううちに不義の関係を口走ってしまう。アビゲイルは、メアリーの霊が黄色い鳥の姿で自分たちを襲っていると訴え、人々を扇動し、少女たちの告発によってジョンも拘引されてしまう。あまりにも不条理なやり方に怒ったヘイル牧師は法廷を出て行く。
◆第4幕 セイラム牢獄独房
季節は秋から冬になろうとしている。セイラムでは多くの人が入牢したため、家畜が村をさまよい作物の収穫もできないまま混乱が続き、流石にこの魔女裁判はおかしいと人々が気付き始める。身の危険を感じたアビゲイルは失踪してしまう。このままでは暴動がおこると憂慮したパリス牧師とヘイル牧師の説得により、ダンフォース判事は裁判の正当性と保身のため、偽りの魔女の告白をすれば処刑はしないとジョンに持ちかける。エリザベスと話をしたジョンは、最後まで否認を貫いた仲間の死を知って衝撃を受け、また自分が偽りの告白することは仲間の意志を裏切ることになると悩むが、断腸の思いで偽りの告白をする。さらに判事に説得され供述書にも署名するが、市民にその署名を見せると聞いて良心の呵責に耐えかね、供述書を破って従容と朝日に輝く処刑台へ上って行く。
■登場人物

◆ジョン・プロクター 野々下孝
独立心に満ちた人物。アビゲイルと、清教徒の間で重罪とされる不倫を犯したことで、後悔にさいなまれる。パリス牧師と反りが合わないことから子供の洗礼や教会の礼拝を怠りがちで、人々から不信感を持たれていた。
◆エリザベス・プロクター 山川真衣
ジョンの妻。ジョンとアビゲイルの関係を察し、アビゲイルを解雇する。優しくも純粋な清教徒。
◆アビゲイル・ウィリアムズ 安達実成
プロクター家に奉公していた少女。両親が死んでからは叔父であるパリス牧師の下で生活している。ジョンへの愛が忘れられず、エリザベスを魔女として告発し、自分が代わって妻になろうとする狡猾な面がある。
◆パリス牧師 山川陽太郎
元バルバドス島の商人。40代の寡男で、ベティの父、アビゲイルの叔父である。牧師としての能力はあまり優れておらず、ジョンからは反発されていた。周囲の評判を何よりも気にする人物。ベティとアビゲイルが魔女騒動を引き起こしたことを悩んでいる。
◆ベティ・パリス 有馬ハルヒ
パリスの娘。森で裸になって遊んでいたことを父親に知られ、それを恐れて病床につき奇妙な振る舞いをする。
◆ヘイル牧師 伊藤広重
周囲から尊敬を集める牧師で、魔女狩りのエキスパート。魔女裁判の様子を監察する為にセイラムに赴いた。最初は魔女の存在を信じていたが、後に懐疑的になっていく。
◆ダンフォース副知事 戸石みつる
セイラムの魔女裁判の最高責任者。その権限の下に多くの者が投獄され、絞首刑の判決を受けた。
◆メアリ・ウォレン 佐藤舞織
プロクター家に奉公する少女。気弱で臆病な性格でアビゲイルに利用されやすい。このことが後にジョンに悲劇をもたらすこととなる。