私の(父方の)祖父は
父と母が結婚する(お見合する)前に
脳溢血で倒れ、半身麻痺で杖をついていた。




両親の結婚式の写真を見ても
祖父は杖をついて写っている。




私が物心ついた時は
まだ会話ができていたはずだが
あまり話した記憶がない。



祖父のベッドの側で
祖母や母や父、妹や弟と話していたと思うし
「おじいちゃん、今日〇〇あったで〜」
と一方通行の報告はしたかもしれない。




けれど、【会話】はできず
ベッドで祖母のお世話になっていたり
全身チューブで繋がれて
痰を取るためにホースを喉に入れられて
しんどそうな様子
怖い音の印象が強い。




おじいちゃんは、生きている。
けれども、【生】とは【死】と隣り合わせ。
残酷なまでに隣り合わせ。




病院で「もう無理だと思うから、皆さん呼んでください」と何度先生が言ったのだろう。



何度も病院に呼ばれ
その度に親戚のおじさん、おばさんも集まって
けれども助かって
助かったのに、喜んでいる人よりも
眉間にシワを寄せている人の方が多く感じた。



あくまで、私はそう感じた。
【生】と【死】が怖かった。
オセロのように、一瞬でひっくり返る恐怖。




おじいちゃん、私のこと、知ってるのかな?
私が産まれた時、何を感じたかな?
女の子やったけど、嬉しかったんかな?




おじいちゃんが亡くなる半年前に、
私の弟が産まれた。
14歳年の離れた弟。
おじいちゃんは、私が4人姉弟になったこと
知ってるのかな?




昨日から、母への怒りを思い出していて
なぜか、ふと、おじいちゃんへの
言葉にならない気持ちがあると気がついた。



これも、無かったことにはしたくない。
おじいちゃん、私は今、生きてます。