手術時間は前日に決定する。
私の場合は二番目で、朝11:00からだった。
緊急のオペなんかが入ると予定がずれることもあるらしいのだが、私の場合は予定通りになった。
当日は、手術の2時間までならOS-1だけ飲んでも良い。水はダメ。
浣腸はなかったが、お腹を切られるため数日はいきみたくないので、酸化マグネシウムを飲んで前日になんとかだした。←本当は当日にも出したかったが、でなかった。
朝6時ころ、検温と血圧測定。
朝10時ころ、胎児の心音確認。ブラはつけずに手術着のガウン、産褥パンツに着替える。(ガウンと産褥パンツは入院時にもらえる分娩セットの中に入っている)
メイクはもちろん、アクセサリー(結婚指輪も含む)、コンタクトもNG。髪はサイドに髪ゴムで結んでおく。
メガネはしていってOK。手術の時もかけていられる。
10:50ころ、オペ看と、その日の担当看護師がお迎えにくる。思ったより出発が早かったので、猶予をもらって、夫へ愛してるLINE。何かあった時のために…w
手術直前の写真。大きいお腹ともこれでお別れ…
歩いて手術室に向かうのだが、ナースステーションを通る際、〇〇さん、カイザーです。というとナースステーションの方々がいってらっしゃいと声をかけてくれる。
道中、たわいもない話をしながらエレベーターで手術室の階へ。ものの3分で着いてしまう。
エレベーターをおりると手術室が3部屋くらい並んでいる。手術室が並んでいる廊下に入る手前で、
椅子に座って数分待つ。その間にみんなで手術のキャップをかぶる。前髪まで中にいれる。
この時までソワソワはしているが、まだまだ余裕。
5分ほど待つと手術室の扉が開き、歩いて入室。
手術台の横の椅子に座ってまた5分ほど待つ。
麻酔会の先生2人が挨拶してくれる。私の場合、執刀してくれる先生2人以外は全員女性だった。
用意ができたのか、いよいよ手術に腰掛けるよう言われる。
前を隠しているので今着ている手術用ガウンと、産褥パンツを脱ぐよう言われる。
素っ裸になると、今度は腰椎麻酔と硬膜外麻酔を打つために、膝を抱えておへそを見るように体を丸める。
この麻酔の実際の映像をあらかじめ見てしまったので、怖くてたまらない。その映像は背中にチューブを入れて抜く時に血がピュッとでていた…
イメージが恐怖を増進させるタイプの人は、絶対に事前に麻酔の仕方や動画なんかは見ない方が良い。
背中を丸めると、皆さん「そうそう、上手ですよ〜!」と褒めてくれる。
背中に消毒液を塗って、なんかシートを貼られて
いよいよ麻酔。
どなたかわからないが、手を握っていてくれる。
チクッとしますよーと言った後、ワクチンの筋肉注射くらいの痛みがした。そのあと、硬膜外のカテーテルを入れていくのだが、神経に響く感じの気持ち悪い感覚。麻酔が完全に効いていないのか、少し痛かった。もうこの時点で逃げ出したい気持ちになっていて、手汗が止まらない。
カテーテルを入れて、痛くないかと聞かれたので痛いと答えると、どこら辺が痛いか訊かれるのだが、もはやまともに思考できない頭で一生懸命伝えるw
注射を追加すると言われたのだが、もはやそれすら怖くて、言い訳して断ろうとしたらすでに注射されていたw2回目は、注射されてることも気づかないほど何の感覚もなかった。
介助されながら、エビの姿勢から仰向けになる。
ここから執刀医の先生が登場。足は内診台に上がった時のように開いた状態で行うとらしく、
足を器具の上に載せられる。
一方、麻酔科の方では点滴用に2個と、出血が多いことが想定される手術だからと、なんのためかわからないが、とにかく3箇所点滴を取られた。
なぜか両手の甲と、手首の内側。
手首の内側は麻酔してからだったが、手の甲は麻酔無しで貯血の時と同じ太い針で刺された。
ぶっちゃけ、硬膜外麻酔よりこっちの方がはるかに痛かったが、硬膜外麻酔の恐怖によりもはやされるがまま状態だったw
頭の中は逃げたい気持ちでいっぱいだったw赤ちゃんに会いたいとか全く考える余裕がなかったww
いよいよ下半身の麻酔が効いているか確認の段階に入る。
脱脂綿にアルコールをつけて、冷たいか聞かれるのだが、なんと違いが分かりづらかったw
触られている感触はするのだが、冷たさだけ感じないらしい。
たしかに下半身は冷たさを感じないが、それを上半身に当てられても、冷たい気がする程度の冷たさ。
合ってるのか分からず、冷たいかと言う問いに、冷たい気がする?と曖昧に答え続ける私w
麻酔が効いてるか不安になっていると、もう下半身の処置始めてますけど、痛くないよね?と聞かれた。どうやら導尿カテーテルはすでに入れたらしいのだが、全く気が付かなかった。
手術の準備は30分ほどで整った。
恐怖すぎて両手が痙攣並みに震えているwww
そして寒くてたまらないのだが、これは麻酔の作用らしい。
両手を広げて紐かなにかで固定される。
相変わらず手が腕からガクガク震えている。
その場のスタッフがそれぞれ名前を言って、術式など声に出して確認して、挨拶をしてから
いよいよ手術開始。
切ってる感覚は何も感じないし、いつ切り始めたのかも分からなかったが、なんとなく何かを焼いている匂いがした。たぶん電気メスだったんだろうけど、そんな嫌な匂いじゃなかったからか恐怖感はあまり感じなかった。
この辺りから腕の痙攣ばりの震えと、寒気がとまり、頭がぼーっとし始めた。恐怖心もいつのまにか消えていた。
たぶん、医療用の麻薬を流してくれてたんだろうと思う。これがなかったら手術中耐えられなかった。
私の場合、胎盤が前壁にまでかかっているので、開腹してから子宮にエコーをあてて、胎盤の位置を確認して、胎盤がない部分を切っていく。
押される感覚が常にしていた。
念入りにエコーして慎重に進めてくれていたらしく、赤ちゃんが取り出されるまで20分くらいかかった。
もう少しで赤ちゃん出るからね、と執刀していた先生がこちらをみて微笑んでくれる。
産婦人科の権威のような偉ーい先生なのだが、技術だけでなく人格者でもあるようだ。
この一言でだいぶ安心できた。
言葉通り、グッと押された感覚のあと、お腹の部分が軽くなるのを感じた。数秒すると、おぎゃあおぎゃあと泣く声がした。
皆さん、おめでとうと祝福してくれて、赤ちゃんは私の左の方を通って、隣の部屋で処置をしにいく。
運ばれる途中に一瞬見えた赤ちゃんは、思った以上に小さくて、胎脂で白かった。
ここからは私の処置が始まる。
ひたすらグッグッ、と押されて胃が苦しい。苦しいので麻酔が効いてるのか不安になった。
そのうち、処置を終えた赤ちゃんが胸元に置かれる。小さくて、毛深くて、瞼はまだ腫れていた。鼻は夫にそっくりだ。
胸元の小さな温もりがとても幸せだった。
少しの間そうしたあと、赤ちゃんは別の処置をするため別の部屋へ連れて行かれた。
赤ちゃんがいなくなったことで手術中の恐怖心がぶり返し、またしても腕からガクガク震えるw
処置中のお腹も相変わらずすごい力で押されている。血を吸っているのか、ズコココココ…みたいな吸い出す音も聞こえる。
色々恐怖すぎて麻酔の先生に、眠らせて欲しいとお願いした。
酸素マスクをつけられ、そこからふっと意識がなくなった。
名前を呼ばれて目を覚ますと、そこはまだ手術室で、主治医が私の顔を覗き込んでいた。
そこで手術がおわったこと、胎盤がすぐ剥がれたこと、出血も少なくて、子宮も無事ということが伝えられた。
何か質問したり喋った気がするが、頭がぼーっとしてあまり記憶にない。
とにかく主治医への感謝の気持ちが強くて、両手が自由なら握手して気持ちを伝えたいほどだった。
それからベッドごとガラガラと移動して(手術台からいつベッドに移されたのか、全く記憶にない)
手術室をでた。
手術室からでて運ばれているあいだ
安堵からか、少し涙が出た。
出産の感動でなく、安堵の涙。
どこまでも臆病な私であるw
そこからMFICUの自分のブースに運ばれて、フットポンプや点滴に繋がれる。
麻酔の影響なのか寒くてたまらず、体全体が痙攣したようにガクガク震えていた。
電気毛布をかけてくれて、気がついたら眠っていた。
硬膜外麻酔から微量の麻薬が入っていて、ずっとまどろんでいるような感じ。
11:00手術室入室
11:40手術開始
12:05息子誕生
13:40ころ?手術終了。
コロナ禍のため、夫は病入れないので
手術が終わったら主治医が連絡をしてくれた。
全前置胎盤の、前後壁付着の胎盤のため縦に切開を入れ胎盤の位置をエコーで確認しながら切ったが
胎盤を切らないために臍の横までメスをいれることになった。そのおかげで赤ちゃんも苦しまずに取り出せたということ。
心配していた胎盤の癒着もなく、するっとはがれてくれたこと。
出血量も前置胎盤にしてはかなり少なく、羊水込みで1100ccでおさまったこと。そのため自己血も400cc戻すだけらしいこと。
100点満点の手術だったと、主治医が言っていたらしい。
ベッドでうとうとしていると、赤ちゃんがGCUに入ったことを知らされる。
出産時は元気に産声をあげてくれた息子だが、途中で呼吸が乱れてしまったため、酸素チューブをつけて経過観察しているとのこと。
ベッドから動けない私の代わりに、看護師が写真と動画を撮ってきてくれた。
裸にオムツで心電図と、酸素チューブに繋がれている息子は眠っていた。
当日は会いにも行けず、歯痒かった。
看護師が撮影してきてくれたGCUの息子。
帝王切開後でも搾乳しにきたなんて書いてあるブログもあったが、私の場合はそんなことはなかった。
初乳をあげたかったのでむしろ搾乳してほしかったのだが
こんな感じで手術当日はあっという間に一日が過ぎた。
身体にも精神的にもストレスを感じたせいか、
喉乾いたとか、お腹すいたとか考える余裕はなかった。
ちなみに夜は点滴の交換でしょっちゅう起こされた。(リストバンドについてるバーコードを読み取って、名前を患者に確認させてからじゃないと点滴できない)
私のいたところがMFICUだったからなのか、カーテン越しの他の人も夜中に何回も点滴を変えていて
基本的には懐中電灯の光だけで点滴を変える作業をしてくれるのだが、
それでも眩しくて起きてしまう。
自分の時と、隣人の時に起きてしまうので、
体感的には1時間に一回起きていた気がする。
MFICU。スペースの広い大部屋みたいなかんじ。
MFICUには4日いたのだが、その間中睡眠はまとめて取れなかった。
まさか病院で寝不足になろうとは。