大学病院に滞在しての治療がはじまって3日目の朝、難病で倒れ、救急車で搬送されてきた女の子が、私と同室の隣のベッドに入院してきた。
 次の日から毎日、★彼女のお母さんは、★意識はあるものの話すこともままならない女の子の面会に(★読点なし)やってきた。とはいえ、慰めの言葉をかける訳ではなく、手をにぎる訳でもない。ベッドサイドで、ひたすら家庭などでのおもしろいできごとについて話し、院内のコンビニで買ったお菓子を食べては帰っていく。まるで自宅のリビングルームでするように。
 後から聞いた話だが、女の子も、お母さんのそんな行動に、(★改行しない)「お母さんは私の病状がわかっていないのだろうか」(★改行しない)といぶかしく思っていたらしい。けれど、女の子は退院してから気づいたそうだ。(★改行しない)「お母さんは、入院していた私に、普段と変わらない『生活の匂い』を届けたかったんだ」。(★句点残す)
 女の子のお母さんは、娘に「家庭のリビングルーム」を届けたかったのかもしれない。

 「寄り添いの★形」も、(★読点)「家族の形」も、(★読点)それぞれ違う。★改★めてそう気づかされた。
 寛解期を迎え、すっかり元気になった彼女はいう。(★句点)

「私も、もしお母さんが入院したら、たとえ意識が朦朧としていても、テレビをつけてその番組に笑って、好きなプリンを食べて帰っていこうと思う」。(★句点残す)