北陸に住む友人、ニイニイと電話で話している最中に、ふと思い出して聞いた。「そういえば、高校って、もう卒業したんだっけ?」。(←★句点残す★改行しない)すると、(★改行しない)「したぞ。35歳にして高校の卒業証書を手にしたで」(★改行しない)という返答。
 「英語の課題は、英語ペラペラの嫁さんがやってくれたのを提出して、テストは、通信制の高校ってでる問題を教えてくれっから、訳わからんでも、その問題の答えだけを何とか暗記して乗りきった」。(←★句点残す★改行しない)そういうニイニイに、(★改行しない)「それって夫婦で卒業したんじゃん」(★改行しない)と笑いながらも、働いて一家を支えながら勉強したニイニイに感心した。
 ニイニイは、15歳で部屋を借り、ひとり暮らしをはじめた。高校を辞め、次に入った学校では、先生を★なぐ★って強制的に退学をさせられた。けれどもニイニイは、どんなに荒れていても、“守るべきもの”は何としてでも守る姿勢をもっていた。
 自分は寮で生活していて飼い猫の居場所がなかった時期には、猫のためだけに部屋を借り、こっそりて世話をしていた。職業リハビリテーションセンターで私と同じ科に所属していた時には、★体調不良で辞めざるを得なくなりそうな私のために先生にかけあってくれた。また、自身のお母さんが倒れた時には、車で北陸から関東東端まで駆けつけた。
 口にはださないものの、高校卒業は、おそらく家族のためというのもあるだろう。
 私は、高校卒業の資格を得たニイニイにではなく、★守るべき家族のために意志を貫いた姿勢に(★読点なし★改行しない)「卒業おめでとう」(★改行しない)といった。すると、ニイニイから、(★改行しない)「たいしたことはしてないよ」(★改行しない)とでもいうかのように、(★改行しない)「おー。ありがとう」(★改行しない)と短い返事があった。
 私は高校や大学の卒業証書なんてただの紙紙切れにしか思っていないけれど、ニイニイのそれは、「家族を守る証」にみえた。