吹雪く窓の外をみながらふと思い出されたのは、小学6年生の夏から卒業式当日まで、毎日ランニングシャツ姿で登校していた男の子のこと。
 同級生の男の子の★ひとり★は、小学校生活最後の夏から秋、そして寒い冬を越え、卒業式の日までをずっと、ランニングシャツで通した。
 誰かが(★改行しない)「寒くないの?」(★改行しない)と聞いても、答えは決まって(★読点なし★改行しない)「寒くない」。(★句点残す★改行しない)今にして思えば、それは、どちらかといえばおとなしい性格だったその子の自己表現のひとつだったのかもしれない。
 男の子は、比較的小規模な小学校では、まさに“時の人”。噂の少年だった。
 同じクラスではなかった私でさえ、冬になると、(★改行しない)「寒くないのかな。今日は何色のランニングシャツを着ているんだろう」(★改行しない)と気になるほどたった。そして、★特★に寒さが厳しい日には、その子と廊下などですれ違う度、★心★の中でそっとエールを送った。
 小学校を卒業し、中学校の入学式からしばらくの間、その子はしきりにいっていたらしい。「制服が暑くて耐えられない」。
 窓越しに積もる雪をみながら思った。「あの子は今、どんな格好で毎日通勤しているのだろう」。(★句点残す)
 こどもができたら少し誇らしげにいうのかもしれない。(★改行しない)「パパは、小学6年生の夏から春まで、どんなに寒い日もランニングシャツで過ごしたんだよ」。(★句点残す)