帰る途中、バレンタインチョコレートを買おうと、駅の近くにあるチョコレート店に立ち寄った。
  軽い気持ちで店内に入ったのが甘かった。夕方だったこともあり、店内はチョコレートを求める人で身動きがとれないほどに混みあっていて、買い物もできなければ、あきらめて店をでることもできない。あっという間に人波にのまれ、もみくちゃになってしまった。
  なす術もなくいたら、ひとりの店員さんが、私の車いすに気づいて助けてくれた。けれど、ほっとしたのもつかの間、今度は、店員さんと私、ふたりまとめてもみくちゃに……。
  たった1箱のチョコレートを買い、店をでることができたのは、なんと閉店間際の19時直前。
 悪戦苦闘の末に手に入れた、たった?1箱のチョコレートを手渡す相手は、病院の先生。 別の人へのものは他店でミルクチョコレートを買ったのだけれど、50代半ばを★過★ぎた先生には、どうしても抹茶味のチョコレートを贈りたかった。そこで、種類豊富なフレーバーがとりそろえられているチョコレート専門店に何げなく足を踏み入れて(車輪を転がし入れて?)みると、そこはチョコレート争奪戦の戦場と化していたのだった。
  やっとのことで店をでると、膝の上に乗せたチョコレートを気づかいながら、そっと車いすを転がした。少しずつ車輪を進めるうち、(★改行しない)「いつもお世話になっている先生のためなら、これくらいの苦労、してもいいかな」、(←★読点残す★改行しない)そう思えた。