やっとついた。
ここが俺がこれから3年間野球をする所なんだ・・・
昨年の12月・・・
聖一「お前はどこの高校行くんだよ?」
巧 「まだ決まってね~よ!!お前こそどこ行くんだよ」
聖一「ん、俺か!俺は明道に行くよ!」
巧 「え!め、明道ぉ~~~!!」
聖一「うん!」
巧 「でも、お前地元の高校に行く予定じゃ・・・」
聖一「最初はな。でも、強い所で野球がしたくなったんだよ!」
巧 「強いとこなら地元にもいくらでもあるだろ!」
聖一「ああ。あるよ」
巧 「なら、地元でも良いじゃないか!」
聖一「でも、地元に甲子園レベルの学校は無い・・・」
巧 「こ、甲子園レベルって・・・」
聖一「俺の夢は甲子園に行くことじゃない・・・
甲子園で勝つことなんだよ!そのためには
甲子園でも勝ち進める高校に行かなくちゃならないんだ!」
聖一とは小さいときからの友達だ・・・
たまたま家が近所でずっと遊んでいた。
喧嘩なんて一度も無い・・・
小さい時から聖一が俺を引っ張っててくれてた・・・
野球を始めたきっかけも聖一だった・・・
聖一がグローブとバットを持ってグラウンドに行くのを見て、
おれも野球がしたいと思い、親に頼んでグローブを買ってもらった。
これが俺の野球人生の始まりだった・・・
それから6年・・・
聖一のポジションはピッチャーだった。
俺のポジションもピッチャーだった・・・
いつも俺は聖一の控えだった・・・
でも悔しさは無かった。
聖一はすごい投手だったからだ・・・
そんじょそこらの打者が打てる球ではなかった・・・
ボールのスピード、キレ。コントロール。フォークにスライダーにカーブ。
どれも俺は敵わなかった・・・
でも、俺も聖一ほどではないが変化球には自信がある。
スライダー、カーブ、フォーク、シンカー、シュート五種類の変化球が投げれた。
ただし、スピードは120㌔そこそこだけど・・・
でも、聖一がこんなことを言うとは思ってもいなかった・・・
聖一はこの町が好きだ。俺も好きだけど・・・
この町で一生暮らすとも言っていた・・・
その聖一が地元を出て、東京の高校に行くというなんて思いもしなかった・・・
聖一と一緒にいた時間は長いようで短かったのかもしれない・・・
そんなことを考えていたら俺の涙腺に火がついて、
涙が出てきた・・・
聖一「お前、何泣いてんだよ!」
泣くのを必死にこらえ、俺は言う。
巧 「だって・・・俺、高校でも聖一と野球したかったから・・・」
ダメだ。ムリだ。涙腺が壊れた。涙が止まらない。
聖一「じゃ、一緒に明道行くか?」
え?
聖一「どうした?俺おかしなこと言ったか?」
涙が一気に止まった。良かった。涙腺は壊れてなかった。
聖一「だって、巧は俺と野球したいんだろ!」
必死に頷く俺。
聖一「俺もだよ!よし、交渉成立!2人で明道に行こう!」
まただ。また、俺の涙腺が壊れた。
こうして、俺は聖一との約束を守るため、親を何とか説得し、
明道高校に入学した!!
今年4月
聖一「おーい、巧。今から野球部の挨拶が始まるってよ。」
巧 「分かった。今行くよ。」
こうして、俺の高校野球生活が始まった。
