Wardell Gray ~ Sweet Lorraine(1949)
Wardell Gray - Tenor Sax
Al Haig - Piano
Tommy Potter - Bass
Roy Haynes - Drums
雨が降ったってちっとも困らないよ
彼女の瞳の中に太陽があるんだから
寝る前には、いつもお祈りしてるんだ
誰かが彼女の心を盗みませんようにって
というような甘い歌ですが、ローレインというのは、フランス、ドイツの国境地帯のアルザス・ローヌ地方のことをもじっているようです。この地域は鉄鉱石の生産地のため、これをめぐって両国の間で争いが絶えなかったようで、「彼女を盗られないように…」という思いとダブらせているようです。
ワーデル・グレイのテナーはベタついたところがなく、かといって堅過ぎもせず、スッキリと心地よいソロを聴かせてくれます。
ビバップの創世記に活躍しデクスター・ゴードンなどと並んで将来を期待されたワーデル・グレイですが、’55年にラスベガス郊外で33歳という若さで不慮の死をとげてしまいました。ファッツ・ナヴァロやクリフォード・ブラウンなどと同様に、もしもう少し長生きしたらジャズの音源はもっと多彩な広がりを持っただろうと惜しまれます。
以前書いたこの曲の記事はこちらです。
Nat King Cole