福玉本舗〜ノンジロウのブログ〜

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映画や本、テレビ、音楽のことやイラスト、似顔絵等をきままに書いてます。





 【スペイン、ガリシア地方の小村。神秘的な岩の建造物ポルタレンの下で、心臓を抉り出された若い娘の死体が発見された。捜査官ラケルは、末期の脳腫瘍に侵された息子を助けたい一心で、完治を約束した地元のヒーラーを頼ってガリシアのこの辺鄙な土地を訪れたばかりだった。ところが、件のヒーラーは姿を消し、その謎の失踪と殺人事件は関連しているようだった。誰もが秘密を抱えているように思える奇妙な小村で、ラケルは相棒のフアンとともに捜査にあたるが、行きついたのは、〈異界からの何者かが訪れる門〉、そして、それを封じるための恐ろしい儀式だった。映画「ミッドサマー」を思わせる、伝説と謎に満ちた〈スパニッシュ・ホラー〉のベストセラー小説、ついに日本上陸。(アマゾン商品紹介より)】

 2020年の作品で日本での刊行は2023年です。
 「このホラーがすごい!」2024年版の海外部門で2位に輝いた作品です。

 解説の風間賢二さんによると本作は「フォークホラー」というジャンルに当たるそうです。で、「フォークホラー」」って何かというと古代の宗教や習俗の気配が残る田舎や辺鄙な土地が舞台になっているホラーミステリーを指すようです。
 こういう作品って日本のミステリーにもよくありますよね。横溝正史や三津田信三の作品あたりが該当すると思います。

 文章はすごく上手くて、主要な登場人物の描写も細かくて非常に上質で骨太な作品って感じでした。
 特に主人公ラケルの相棒となるフアンという刑事が出てくるんですが、結構太っていて冴えない男って風貌なんですが実はかなり頭が切れて、運動神経も優れていて、さらに女性に対してかなり純情なキャラでとても魅力的でした。
 都会から赴任してきた女刑事ラケルと田舎の刑事のフアンとのバディーズぶりもよかったですね。

 ただホラー作品としては個人的には少し物足らなかったですね。謎の失踪と殺人事件をラケルとフアンのコンビが追っていく様子はミステリーそのものなんですが、事件の根幹の部分で超常的な要素があって、その部分ではホラー小説ともいえるんですが。

 約500ページの作品ですが、だれ場もなく読み応えのある作品でした。