農業全書 013

 

間違い等あればコメントで教えてください🙇‍♂️

 

田んぼに居た亀さんにっこり
 

-----

 

「農業全書巻の一

農事總(総)論 

種子 第二」

 

P58

 
五穀にかぎらず萬づ(ヨロヅ)の物たねをゑらぶ事肝要なり。
是生物の根源にて、即ち生理其中にある事なれば、 慎んで大切にすべきことなり。 
作り物の過ぎもせず、よき程に出来て蟲氣の痛もなく色よくうるはしきを常のかりしほより猶よく熟して苅取り、雌穂を見分けてゑりとるべし。
雌穂といふは其穀しげく莖(茎)も葉もしなやかに節高からずみゆるものなり。 
作多き家には苅取りて後には
にてゑり、分量より餘計を貯へ置くべし。 
又粟黍(アワ、キビ)などの類は其畠にてよく秀いで色よきをゑらびぬき穂にしてつり置くべし。物だねをおさめ置く所は土藏をよしとす。 
されども濕(湿)気にふれざる心得すべし。
土の氣をうくる(受ける)所にては生意早くきざす物なれば、窖藏(アナグラ、地下の蔵)ありて入れをきたるは殊に宜しきなり。
又物だねをゑらぶ事、丸くよく實(実)り一色にして大小なくそろひたるものをおさめて、折々出し
日風に當(当)てをき蒔くべき前取出し、能(ヨ)く吟味して少しも損じたるをば必ずうゆべからず。 少しにても痛みたるたねは一旦生じ榮ゆるやうなれども、終にかじけて(衰えて)死(カル)る物なり。尤雜(雑)(モットモ、マジ)りたるたねをうゆべからず。
春きて多く減りてもしらげ(仕上げ)になりがたし。
(ウリヨネ、貯蔵した米を売る事)にはまじりありて見つきあしく、飯に炊ぎてはむらに返して味までよからず。 
物ごとたねのゑらびあしければ色々の損多し。 
懇にゑらぶべし。
又五穀の種子をよく干しあげ、場(ニワ)に堆く(ウズタカク)してをき、馬を引きかけて三口も五口も食はせ、種子の上を踏ませて其の後おさめ置けば蟲の付く事なきものなり。
 
〇意訳〇
 
五穀に限らず全ての作物の良い種を選ぶ事は重要だ。
種は生物の根源であり正に命の源
慎んで大切にすべきだ。 
作物の成長に合わせ良い具合に出来て病害虫もなく色よく整って美しいものを、通常収穫するよりも更に熟してから苅取り、雌穂(シスイ)を見分けて選び取るべし。
雌穂と言うのはその穀物の生育良く茎も葉もしなやかに「節高からずみゆる」(徒長していない?)ものだ。 
多く栽培する場合は刈り取ったあとで選び必要量より多く取り保管しておく。 
また粟黍(アワ、キビ)などの類はその畑で特に色の良い物を選び穂にして吊り下げておくべし。
種を納めて置く所は土藏が良い。 
湿気が来ないようにするべし
土の氣を受ける所では芽が出てしまう。
地下の蔵が特に良い。
また種を選ぶ事、丸くよく実り色や大きさの揃った物を、時々出して太陽と風に当て、蒔くべき前に取出し、よく吟味して少しも痛みの無い物を植える。
少しでも痛んでいる種は芽が出ても後に衰えて枯れる物だ。
均一でない物を植えてはだめだ。
「春きて多く減りてもしらげになりがたし」(春に多く使っても収穫できない?)。
(ウリヨネ、貯蔵した米を売る事)から始まり、見栄えも悪く、飯に炊いて混ぜても味も良くない。 
種が悪ければその後ことごとく損が多い。 
心を込めて選ぶべし
又五穀の種子をよく干し、庭にうず高くしてから馬に三~五口も食べさせ、種子の上を踏ませてその後納めれば虫がつかない。
 
〇感想〇
 
「耕作」として基本的な事から耕す事について長い記述でしたが、今回から第二部の種についてとなりました。
これも本当に大切な事が詰まっていますね。
とは正に生命の源
 
DNAが入っています。
 
 
 
これを昔の人もとても大切に扱っていた事がわかりますねニコニコ
 
 
 
続き 014⬇️
農業全書 記事一覧⬇️