告白
Amebaでブログを始めよう!

祖父の死 vol.3

けど…




5月21日、葬式の日がやってきた。


葬式に出る前に祖父を綺麗にする。


白い着物を着て永い眠りについた祖父


一昨日まで暖かかった祖父の手は


とても冷たくなっていた。


人間の体温は感じなかった。


綺麗になった祖父と葬式会場に行く…。






葬式会場はとても広かった。


小学校の体育館より少し狭いぐらいだった。


その会場3分の1ほどが花で埋められていた。


それだけ祖父を大事にしてくれた人がいたということだ。


ざっと100はあったと思う。


祖父がいる場所も綺麗だった。


祖父の写真の周りに花がたくさんある。


そして


花の前には祖母がいた。


一人で祖父の写真をずっと見ていた。


祖父の写真を見ている祖母はとても綺麗だった。


とても「絵」になっていたと思う。





午前11時葬式が始まった。



葬式にきた人数は約300人。








祖父は名医だった。


北海道でも有名だった。


朝、私が学校に行くとき7時5分ごろにはもう患者さんがいつも玄関の前で待っていた。


椅子まで持ってきていた。




祖父は甘いものが大好きだ。


医局でもいつもアイスを食べていたそうだ。


そんな甘いものが好きな祖父が今帰らぬ人となっている。




涙が出たかは忘れた。


なぜか葬式のときの記憶がない。


でも、無事葬式は終わった。




葬式会場にリムジンの迎えが来た。


いよいよ火葬場へ行くときがきた。


vol.4へ

祖父の死 vol.2

午前1時30分頃、医師から正式に亡くなったといわれた。


それからはよく覚えていない。


徹夜したのは覚えている。


多分叔父や祖母が葬式や通夜の準備をしていたんだと思う。


5月20日通夜が行われた。


何人来たかは忘れた。


主に親戚だったと思う。


祖父が医者だったので、婦長とその子供も来た。



その夜は、飲み明かした。


直人と理沙と一緒に。


嫌な事があったら飲み明かしたいというのはこの感情のことだろう。



トランプをしながら、オレンジジュースやコーラを飲み捲くった。

お菓子やつまみも食べた。


罰ゲームとかも考えてやっていた。


楽しかった。


何時間も、何時間もやった。


「祖父が死んだことなんて忘れたい。」


そんなことを思っていた。


けど…


vol.3へ

祖父の死 vol.1

とうとう祖父が死んでから2年が経った。


2年前の今日、短縮4時間で、いつもどおり母と祖母が祖父のお見舞いに行っていた。


いつもどおり帰ってきて、いつもどおり習い事に行って、いつもどおり寝た…。


けど…



平成16年5月18日午前11時30分、母の叫び声で目が覚めた。


コンタクトレンズでもなくしたのだろう、と安心していた。


「恵美ぃー!麻美ぃー!こっちに来なさい!」


母に呼ばれたので、仕方なく行った。



「なにぃー?」


「…おじいちゃんが死んだって…。」


「…え?」


一言でいうなら、絶望した。


無くしものかと思ったのに。


いつものことだ、と思ったのに。



「急いで着替えなさい。今すぐ病院に行くから。」


「はい…。」


驚いた、としか言いようがない。


まさに放心状態だった。


姉も驚いていただろう。


いつもは面白く楽しい母なのに、今は泣き叫んでいた。


そのことにも驚いていたが、なにより自分の祖父が死んだ、ということに驚いていた。


急いで着替え、3人で車に乗った。



「早く、早く、早く…。」


母はまじないのように、そう何度も呟いていた。


赤信号も無視した。


「ちょっとぉ…。」


冷静な姉は注意していた。


けど、次からは黙っていた。



こんな空気は初めてだった。


雨の音。泣き声。呟き声…。


泣きそうになった。


でも、これからやってくる現実に立ち向かわなければならなかった。



病院に着いたら、直ぐに下りて走った。


病室に向かって全力で走った。走った。走った…。


色んなことが頭を横切った。


ドラマみたいだったけど、それは「現実」だった。



病室に着いた。


母が静かにドアを開ける。


親戚は誰もいなかった。


一番最初に着いたようだ。


ベッドに祖父と医師がいた。


まだ生きていた。


ドラマみたいだった。


ピッ…ピッ…ピッ… 


TVでみた同じ機械。


TVでみた同じ風景。


TVでみた同じ状況…。



十分ほどして、祖母と従兄家族がきた。


祖母は泣いていた。


凄く泣いていた。




時間だけが過ぎていった。


空気が重かった。


20分ほどたった。

「おじいちゃんに最後の挨拶をしなさい…。」


祖母が言った。


皆が祖父の手を触っていく。


恐る恐る触った祖父の手は、暖かかった。


気付いたら、私は泣いていた。

涙が溢れてくる。


こんなに泣いたのは初めてだった。





「ひいおばあちゃん、連れて行かないでよ。息子のこと愛してるなら連れて行かないでよ…。」


心の中で、何度も言った。


祈りは伝わらなかったようだ。



ピーー…………


機械の音が止まった。


平成16年5月19日午前12時45分、祖父が逝った。



私は「子供は病室に入っちゃいけないから」という理由でお見舞いに来ていなかった。


「おう、恵美。元気だったか?アイス食べるか?」


と言う、祖父の声が戻ってくると思っていて。


当然だと思っていた。


死ぬなんて思っていなかった。





「バイバーイ」


「じゃあな」



これが祖父との最後の言葉だった。


最後の言葉は別れの挨拶…。


なんだ、これ、ドラマみたいじゃん…。


泣きながら、笑っていた。




祖母と叔父以外は廊下の椅子に座った。


姉と隣に座り、手をつないだ。


普段は滅多につながなかったが、この時はしっかりと握っていた。



午前1時30分頃、医師から正式に亡くなったといわれた。



vol.2へ



そんなことが、現実に起きたのだった。


今でも忘れない。


今からも忘れない。


こんな出来事。


2年前の今は祖父が死んで15分たった時間。