それまで、浅田選手はSPで必ず大きなミスをしていた

どうしても3-3コンボがうまくいかず、GPFではコンボ以外にも

ジャンプを一つ丸ごと跳べなかった


そうして迎えた全日本選手権

今回の全日本は、GPFに出るために必ず勝つ必要のある

GPSではない

事実上ワールドがほとんど内定していたし、気分も楽だろうと思って

いた人も多いのではないだろうか


だが今までの彼女の演技を見ていると、一概に「気分的に楽」

な場合にいい演技が出来てるわけではない様に思う

そもそも微塵も楽だと思っていない様子が見られた


それも当然だ


・初の大きな大会で連覇のかかった試合

・今までSPは一度もいい演技が出来ていない不安

・今年出場した試合で一番観客が多く、会場にいる全員が自分の存在を

 知り、ファンは期待を寄せる特異な状況

・万が一ひどく失敗すれば、ここまで粒ぞろいの選手が揃っている

 全日本では簡単に表彰台から転げ落ちる状況

・ワールドは内定されているとはいえ、ひどい成績なら派遣について問題が

 起きてしまうのも必然だ 

 実際、安藤選手のトリノ派遣で問題が起きたのは、記憶に新しい


そういう意味では、とにかくチャレンジすればいい「攻めるのみ」の状況より

今回は「守りながらも攻めなければならない」わけであり、

初めての体験だったと思う


どのスポーツでも言えるのだが、攻めすぎても守りすぎても勝てない


去年は明確な「攻めに徹する」シーズンだったが、今年は

「攻めながらも守るところは守る」という、バランスのいい戦術を試している

オリンピックに向けて、どの戦術が勝利につながるのか試している段階

なのだろう


全日本のSPでは、このバランスがうまくかみ合った


出来る技をいれ、確実にこなす守備と大きく体を動かし、時間を取る割には

あまり点数的には伸びないステップをそれでも外さず、今まで成功していない

3-3コンボをそれでも入れる攻撃がうまくかみ合い素晴らしい得点に結びついた


このSPの成功は間違いなく大きな転換となる


ジュニアの頃の強さが戻ってくるのも遠い未来ではないだろう


フジテレビの放送は、基本的にはテレビ朝日より
「対決」色が薄くて楽しく観られるのが特徴だ

フィギュアスケートは競技だけれど、芸術を楽しむ

側面もあるから煽りがひどいとうんざりしてしまう


去年のフジテレビの放送は、実況がくだらないことを

しゃべりすぎる致命的な欠陥があったが、

今年は一定の改善がみられた


実況は去年に比べればおとなしくなったのだ


たが、あの実況はやはり変えるべきだと思う

変な言葉が多すぎて、美しい演技を楽しむところまでは

やはりいかないし、鈴木選手の摂食障害の話のところでは

生死に関わる話をダイエットと同様な視点で語ったので

怒った人も多いはずだ


それから天井カメラはやはりいらない

上からのカメラワークは美しいと思えないと思うし、切り替わ

りが多くなるので、全体的な美しさが損なわれてしまう


カメラワークも切り替わりなどがまだまだで、海外の放送を

是非見習って欲しいところだ


解説の八木沼さんは落ち着いた声で、冷静に分析をする人だ


だが、毎回毎回「減点、減点」は正直もうおなかいっぱい

荒川さんの解説でもそうなのだが、細かいミスや減点の紹介は

スローのところでお願いしたい


せっかく選手が物語や音楽そのものを演技で表現している

のに、いちいち「エッジが・・」「減点が・・」は正直興ざめだ

試合だし技術的な紹介は必要だが、同時に芸術でもあるのだから

目に見えないようなミスは指摘するならスローでして欲しい


音楽コンクールの放送で、解説がいちいち「今音を外しましたね」

とか言っていたら、聞く気がなくなるのと同じだ


あと不思議なのが、エッジの不正の様に審判の判断に任せるものを

いちいち指摘しているところ


浅田選手のルッツでは特に必ず指摘するが、正直見逃されている

選手も多い 


試合によっては少しのエッジ違いでも不正と判定される場合も

あるし、かなりのエッジ違いでも不正と判断されない場合もある

同じ試合でも男子・女子でおかしなぐらい判定が違ったりもする


要はまだまだ審判もどこまでを不正、どこからがそうでないかの

線引きを迷っている過渡期の段階なのだ


そういう時期は、黙っているのが一番いい


日米対抗では浅田選手のルッツは

不正エッジの判定はされなかった


だが、 判定の厳しいスケートカナダで不正と判定され、

その後当然のように毎回eがつくようになった


該当選手の国の解説が認めているなら、

審判も

「浅田選手レベルのエッジ使いは不正エッジでok」

になったのだろう


日本人的観点からいけば

「ミスはミス 正直にいわないと」

なのかもしれないが、他のどの国の解説も

自国選手の不正エッジは指摘には消極的だ


今回の全日本ですら浅田選手はeがついた

他にもついた選手がいた


だが多分、全米ではキミー選手をはじめ、eは選手にはほとんど

つかないのではないかと思う


国内試合は、選手の美しさを点数に変えて世界に紹介する場

その場所に、判定の定まっていないeは必要ない


今のように試合によってついたりつかなかったりする現状では、

国際試合になった時に判定結果が不利に使われるだけだからだ

選手ごとの力の差は、他の部分でつければいい


何でも事実を言うことが勝負の世界でも正しいとは限らない

特に判定があいまいな場合、判定が過渡期の場合は尚更だ


選手の演技を台無しにしているだけではなく、

選手の足をひっぱらない実況・解説を出来る人は

どうやらまだ日本にはほとんどいないらしい