大企業だったサーブが倒産してしまった事実スウェーデンは航空機を輸入ではなく自国で航空機産業を興し、独自開発の飛行機の数々を開発しているのだが、その理由はスウェーデンが「中立国」だった為で戦争となれば中立国ゆえに同盟国等の味方も無く独立を守るため周囲の全てを敵として自給自足で戦わなければならいのが中立国の運命。第二次大戦中のスイスが連合国軍・枢軸国軍を問わず、絶えず国境を防衛するために戦わなければならなかったが、当然スウェーデンも国家防衛のための軍備を維持するため、自力で兵器を開発・供給する能力が必要だった。そう言った状況からサーブは戦闘機や爆撃機を生産した。第二次大戦が終戦を迎え、サーブは戦闘機の需要の低下を見越し、これまで培ってきた工業力を元に自動車産業に乗り出す。それで1946年に完成したのが、2サイクル2気筒エンジンを搭載した前輪駆動車「92001」。この「92001」は当時としは大変めずらしい車で、前輪駆動である上に、それなりの大きさがあるにも関わらず4サイクルではなく2サイクルエンジンだった。そして航空機開発で生かしたモノコック構造で空力面は完璧であり、当時としてはかなり先進的な車だった。それからもサーブは「空を飛ぶように走る車」というコンセプトのもと、車製造を続けている。その後のサーブは自動車では「92」とその発展型が国際ラリーで大活躍し、1977年には量産市販車としては初めてターボエンジンを搭載した「99ターボ」をデビューさせた。航空機の方でも「29トゥンナン」「32ランセン」「35ドラケン」「37ビゲン」と、他の国が作るのと比べると特殊は機体(サーブ29トゥンナンは「ビア樽」と呼ばれていたが性能面では問題無かった)でありながら、常に一流の性能を持つ戦闘機を生産している。そして、民間の旅客機でも「340」などで成功を収めた。しかし、サーブの自動車部門は1980年代に入ると陰りを見せ始め、1984年にイタリアのフィアット・グループと合弁し、新型の「サーブ9000」はアルファ・ロメオ164やランチア・テーマなどと兄弟車として製造されてしまい、サーブ独特さが危ぶまれた。フィアットとの合弁事業で大衆車メーカーからプレミアムメーカーへと進化しようとしたサーブだったが、その後1990年には米GMグループに入り「サーブ・オートモビル」という別会社になり、2000年にはGMの完全子会社となる。それからは「9-3」や「9-5」といった「下の数字はBMWの各クラスに相当する!」というライバル心をむき出しにしたネーミングの新型車をリリースしたかと思うと、同じくGMと提携していた頃のスバルからインプレッサを仕入れてサーブ顔に化粧直し「9-2X」としてリリースするなど迷走の末、ついに2009年には親会社GMの破綻の煽りを受けて、サーブ・オートモビルも2010年にオランダのスパイカー・カーズに売却され、その先でまた破綻しを繰り返し、2011年に破産し会社更生法を申請し事実上倒産てしまった。その後もゴタゴタは続き、2013年12月に中国の投資家と日本の投資会社・サン・インベストメントによる企業連合体である「ナショナル・エレクトリック・ビーグル・スウェーデン社(NEVS)」が、「9-3」や「9-5」を生産継続するという話があったが、合意と白紙を繰り返し、今後どうなるかは全くわからない状況になっている。