猫と兵士の物語米兵と猫の間に芽生えたその愛情を真に理解できるのは、当人同士だけだろう。この猫を愛してしまった米兵は、戦場で猫を助けるために、絶対服従である命令に背き、自分の命をかけて猫を救い出したのだ。確かに彼は軍規違反を犯した。だが、彼はそれを後悔するどころか、この出会いに感謝しているという。8年間、アフガニスタンで戦地勤務に務めたジェシー・ノット軍曹は、一般人の想像が及ばないような経験をしていた。見知らぬ土地で神経をすり減らすような生活を強いられていた彼にとって、偶然出会った、猫のカシュカが唯一の癒しであり救いであった。カシュカは虐待を受けていた。毛にペンキがついてたことも数回あったし、バリカンで背中を剃られていたこともあった。そんな猫を放っておけないジェシーは、軍規違反だと知りながらも、小さな基地でカシュカを飼うことにした。だが、カシュカのおかげで、彼は故郷であるオレゴン州に負傷せずに帰還するという希望を捨てずに居られたと言う。「戦場では希望を絶たれることも多々あった。そんな時、一筋の光を運んでくれるのは、ちょっとしたことなんだ。」 ジェシー軍曹は語る。2011年12月8日に起きた米国部隊を標的とした自爆テロがジェシー軍曹を絶望へと追いやった。「目の前が真っ暗になった。全ての希望を失ったよ。2人の戦友が戦死したんだ」。悲しみに打ちのめされていた軍曹の前にちょうど現れたのがカシュカだったのだ。カシュカは泣いているジェシー軍曹の膝の上に這い上がってきた。「もう何も信じられなかった。希望なんて持てなかった。全てが終わりだと思った。そこに突然カシュカが現れたんだ。そして僕にこう言ったように見えた。『まだ終わりじゃないよ、あなたは生きているでしょ』ってね」。ジェシー軍曹はカシュカを戦火が広がるアフガニスタンに留めるべきではないと決断した。「彼は僕を暗闇から引きずりだしてくれた。僕も彼を暗闇の地から解放してあげないといけない、って思ったんだ」しかし、米国の軍用車両に猫を乗せて移動することは出来ない。どうやってカシュカを移送できるのか悩んでいた時に、勇敢な現地の通訳者が「私が引き受けましょう」と申し出てくれた。だが、それはとても危険を伴うことだった。もし、タリバンに見つかれば彼の命はそこで絶たれる。アフガニスタン人がアメリカ人の頼みを聞いて動くなど、許されないことなのだ。彼が負ったリスクは計り知れない物だった。派手な紫のカラーをつけた猫に、アメリカ製のキャリーケース。それを担いでアフガニスタンの国土の半分を横断する。途中にタリバンの検問所がいくつあるかさえ分からない状況。しかし数週間後、無事にカシュカがカブールに着いたと知らせが入った。ジェシー軍曹の家族が飛行機代を払い、カシュカはアフガニスタンからパキスタンを経由しニューヨーク、そしてポートランドへと無事に移送された。掛かった費用は約3000USドル(約37万円)。決して安くない金額だが、カシュカが無事に送還されればそれでいい。ジェシー軍曹は猫のカシュカがいたから、私は生きて帰ってこられたと思っている。彼なしではあの状況をきりぬけられなかったと信じている。両者はお互いを救ったのだ。もしこの出会いがなければ、今彼らが生きていたかどうかなんて誰にも分からない。ただ一つ確かなことは、彼らは見えない絆で結ばれ、無事にアメリカに帰ることができた。そこでこれから、一緒の時間を過ごすことができるということだ。まあ、戦場で強いストレスを受けて何もかも希望を失っていた時に猫に触れて、心が癒されたって感じなのかな・・・精神的に助かったって事もあるんだろうね。猫も虐待を受けていて何らかの助けを求めていたから、お互いに引き寄せられたんだろう。