バルブスプリング | 世界珍ネタHunter!

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冷間成型されるバルブスプリングの材料は、主にピアノ線やオイルテンパー線で作られている。オイルテンパー線は、線の状態で連続的に焼入れと焼戻しを施した線の事を指し、ばね成型前に熱処理されている。ピアノ線は、伸線加工において機械的な強度を発生させる線で、伸線加工前に所謂パンティング処理を行う。このパンティング処理と言うのは、線材を連続的に過熱しオーステナイト状態にしたのち500℃前後の温度に急冷し、微細なパーライト組織にする事で常温での伸線加工がやりやすくなり、ばね材料のふさわしい特性を具現化できる。以前、戦中に資材不足から代用鋼を用いり折損しやすかったバルブスプリングの話しをブログ記事にしたが、それ以外にも面白い話しが在るので、ここに記しておく。戦前、バルブスプリングを製造していたのは住友電工工業だったが、材料のピアノ線はスウェーデンからの輸入に頼っていた。バルブスプリング自体は小さなエンジン部品だが、もしこれが折れるとそのシリンダーが死んでしまい出力が落ちるだけではなく、エンジン回転のアンパランスから異常振動が発生しエンジン本体の損傷ダメージが拡大してしまう。それだけに開戦後スウェーデンからの輸入がストップした場合に備え、国産化技術を確立しておくべきであるとの考えから5.8mmの太さのバルブスプリング用ピアノ線材の国産化を住友電工に委託した。住友電工技術陣の頑張りで、国産材でも良いものが出来る様になり、おりからの大増産の要請に何とか応える事が出来た。しかしフル操業で生産するも急増する需用量に供給量が追い付かず、もう一社バルブスプリング用ピアノ線材を作れる所を育成するのが緊急の課題となった。航空本部でバルブスプリングメーカーの候補として上がったのが不二越鋼材だった。しかし、ここの工場長が一刻な人物で、「他社で使っている技術を使うのは単にパクってる様で嫌だと言って海軍側の要請を拒否し、パクり技術では無く独自開発するから、それでやらせてくれと要請してきた。「そんな事を言っても戦争には間に合わないから、取敢えず住友の技術でやっていただきたい。その間に自前の技術を開発して、その代えれば・・・。」と言って納得させた。軍からの命令とあればいや応なしに従うのが当たり前だった時代に、こんな職人気質の技術屋も居たのだと言えるエピソードである。
バルブスプリングは、自重とばね定数によって定まる固有振動を有し、スプリングがバルブの開閉の為に圧縮と復元を繰り返す。ところが、エンジン回転スピードが上がると、圧縮と復元の高調波成分によって加振され共振を起すのがサージングである。これはバルブの不整運動で避けなくてはならない。その為に巻きピッチを変化させ、非線形のばね定数にする。密に撒いた部分が互いに接触したり離れたりすることにより固有振動数が変化する効果がある。もう一つの方法として、ダブルスプリング式にする。一方のスプリングがサージングを引き起こしても、もう一方が所定のばね定数を維持していれば影響は半減する。ダブルスプリングを使用する場合、巻き方向を互いに逆にして、からまないようにする。もしも間違えてスプリングの巻き方向を同じにしてしまった場合、互いのスプリングの固有振動が同調し共振する事でばねが疲労し折損する。又、エンジンの回転を回し過ぎサージングを起した場合でも、バルブスプリングには激しい繰り返し応力が受ける事でスプリング自体に蓄積された疲労により破壊(折損)を起す。







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