返す2 | 木のうろ

返す2


昨日前の彼女と会い、貸しあったものを返却しあった。
待ち合わせ場所で二ヶ月ぶりに会った彼女は笑顔で久しぶり、といい、
それで胸がつまることもなく近場の喫茶店に入った。
品物を交換し、言葉少なく近況を報告しあう。
痩せたね、顔小さくなったと言われ、仕事忙しいから、そっちは、と聴くと、うちも忙しいよという。

一緒に音楽をやっている友人の彼女と、先月末ご飯を食べたよと聴いた。
その彼女は、自分の前の彼女を何でか慕っている。
想像にすぎないけど、何で別れたのか、そういった話題も出たのだろう。
友人の彼女の個人的なサイトも、自分達の別離の後に閉鎖した。
それが自分達の影響なのかどうかはしらないが、仲の良かった集団において、
その構成要素の一部が破綻するというのは他のメンバーにおいても扱いづらい事柄なのだと思う。

30分程度で店を出て別れた。
夕方には別な友人がやってきた。
前日にはまた別な人が部屋に泊まった。
自分を束縛はしないけど、今はあなたが一番好きだと言ってくれる。

久しぶりに前の彼女の顔を見て、やっぱりまだ好きだ、たまらない、
という激しい感情は湧かなかった。
ただ、4月のライブでまた会う機会があるのだなと思うと素直に嬉しい。
正直、付き合ってくれないか?と言おうかともかすかに思った。

でも、そうした心の情動をどこか頭上から眺める自分がいることに最近気付く。最近読んだ本に、人を好きになるのは箇条書きのような理屈じゃないんだ、という一文があった。その通りだと思う。

今の自分は、久しぶりに会った前の彼女に対して、過去情報以外の好きは抱いていないし、泊まってくれた人に対しても理屈抜きの好きは感じられない。

長いこと異性とつきあってきて、その環境が霧消した生活にまだ完全に慣れきっていないだけなのだろう。

理屈抜きの好きは、好きを渇望している間は決して得られないはずだろうし。