【須佐之男命の出雲への降臨】
高天原を追放された須佐之男命は出雲国に降臨し、
まず八俣大蛇を退治し国つ神の娘である櫛名田比売を娶る。
古事記では高天原から出雲に降臨した須佐之男命が八岐大蛇勢力を撃破して
支配権を確立した説話の後、須佐之男命系譜が記されていて
七世孫に大国主神が出現する。
邇邇芸命の天孫降臨のはるか以前に須佐之男命の出雲への降臨があったとするのが
古事記の歴史観であるということができる。
【草薙剣の由来】
八俣大蛇の尾から「都牟刈之大刀」が出現し、
須佐之男命はこれを天照大神に送り届けている。
書紀では「草薙剣」と記された後に分注で
「一書に云はく、本の名は天叢雲剣」とした上で、
「日本武皇子に至りて、名を改めて草薙剣と曰ふといふ。」とある。
岩波版の注は、
「即ちこの剣は大蛇→高天原→天皇→(伊勢)→熱田にうつった
という系列が考えられている。」
と補っている。
この流れの中で、朱鳥元年六月十日条に
「(天武)天皇の病を卜うに、草薙剣に祟れり。」
とあるのは、
天皇系列の中で天武天皇の位置づけを考えるうえで重要であるが
ここではテーマがずれてしまうのでこれ以上触れることはできない。