散歩と銀盤

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NHK大河ドラマ『いだてん』は本当に良かった。

なんといってもたくさん笑ったし、たくさん泣かせてくれた。

あちこちに仕組まれた仕掛けも、さすがクドカンと言えるものだった。

 

そして一番感心したのが、様々な暗部に触れていったこと。

関東大震災の時には「自警団」を出すことで朝鮮人の虐殺事件に暗に触れ、

ベルリン・オリンピックで日本人として金メダルを取った朝鮮の選手の気持ちに寄り添い、

時の権力者(しかも残虐な独裁者)に取り入り、IOC会長を接待で懐柔するという、

オリンピック招致の裏の実態をさながら美談のように暴き(見事!)、

日本中に持ち上げられて逃げ場を失った「ガンバレ」前畑の苦しみを描き、

満洲に侵攻したソ連軍が女性に行った暴行を「日本人も同じことをした」と言い放った。

設立会社の脱税容疑が掛けられNHKへの出演は見送られた出演者を、「視聴者のみなさまに満足していただけるよう」使い続けた。

(ま、瀧さんは降ろされた上に、出演済のシーンも、再放送やメディア化のために全て撮り直したらしいけど!)

そして最終回前には「アメリカにおもねって原爆への憎しみを口にしえない奴は、世界平和に背を向ける卑怯者だ!」という実際の田畑さんの言葉を大々的に引用。

そして作品の大きなテーマの一つは、「今の日本は、あなたが世界に見せたい日本ですか?」だということも、最終回に強調された。

 

いや、ほんと凄かったな。素晴らしい作品だった。

…と思っているのに連日、最終回の放送後に至ってまで伝わってくるのが、「視聴率最低」というレッテルだったのだ。

これはおかしいんじゃないか、確かに昔ながらの大河の好きな爺さんたちに不評だったのは分かるし、知っている。でも、低視聴率と言われ過ぎだと思ったとき、これは印象操作ではないか、『いだてん』をたくさんの国民が観たら都合が悪いと思っている人たちがいるのではないか、と思い至った。

https://www.nhk.or.jp/idaten/r/

 

ああ、こんなこと言っていると、また陰謀論始まったと思われてしまうのだろうな。

いやいや、ちょっとまった。

何かの人気度の数字を軽く操作したり、露出(目に入る頻度/テレビ新聞雑誌など、広告だけじゃなく記事も買える)を上げたり下げたりということや、あるいは賞を与えるなどで、なにがしかの商品を売ろうという印象操作が世間でごく普通にツールとして行われているのは、そういった商売をしている人ならばよく知られた常識…以前に普通にやってますけど、といったところだろう。ならば、視聴率を多少盛ったり削ったり、あるいは実数字以上に「悪い」「最低」と言い連ねることで「ああ、やっぱりダメなのね」と、多くの国民が思ってしまうのはありがち、やりがちなことなのだ。

 

そこで今度は「陰謀論」という言葉だ。

有名なところではアポロ11号は本当は月になんて行っていない、というやつで、これ、あの映像はキューブリックが作っているんだって!と最初に言った人はそれがオチのつもりだったのではないかと思っているのだけれど、案外「なるほどー」とかなって引いちゃったんじゃないだろうか、という。ま、それはそれとして。

先日ある芸能人が薬物で逮捕された時、政局で都合の悪いことがあると有名人を薬物で検挙して世間を目を逸らせているとSNSに投稿した、まあこちらも有名人が、陰謀論とつるし上げられた。

気が付かれて欲しくないことは「陰謀論」だと流せばいい。 「=ヤバいやつ」となるから、と考えている人たちがいるのではないかということ。言えなくなるしね。

だから、極端な陰謀論にはもちろん気を付けなければいけないのだけれど、陰謀論という言葉が「知られたくない人たち」に便利に使われることもあるのではないかという、そういうお話でした。