マイケル・ジャクソン《エスケイプ》。ライナー・ノーツ書けた。 | ノーナ・リーヴス オフィシャルブログ「LIFE」Powered by Ameba

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西寺郷太・奥田健介・小松シゲル NONA REEVES

 マイケル・ジャクソン《エスケイプ》。ライナーノーツ書けた。今回も本国とのやりとり始め、スケジュールなど壮絶だった・・・。



 文字量は約1万字です。前回の《MICHAEL》は1万5000字でしたけど(笑)。オフィシャル・ライナーノーツを手掛けるのは、ジャクソンズやDVD含めると20作を越えました。モータウン期を除けば、ほぼすべてとなります。

 正直このマイケルのライナー仕事は名誉職で光栄なことなんですが、全身にかかるプレッシャーときつさ、特にデータが間違えた場合のバッシングや追求は半端なくて地獄でもあります(笑)。

 なによりスケジュールの唐突さや情報の少なさも普通のアーティストと比べ物にならないんです。もっと言えば情報や推測は山のようにネットに溢れてるんですが、ほぼ間違ってる(笑)。僕は、特にここ5年 ———マイケルが亡くなってもう5年になろうとしてるんですが——— 勉強させてもらいました。

 あることを知りたくてネットで検索するとAという情報が出てきますよね。で、「なるほど」なんて思ってクリックするうちに、「いや、ほとんどの人が信じてるそのAという情報は間違ってる。皆、バカだから真実をわかってない。これこれこういう理由で実は、Bなんだ」ってページに必ずぶつかるんですよ。で、「おい!さっきまでAと思ってたのに、Bが正しいぞ!みんなー、騙されてるぞー!」なんて興奮しちゃったりするわけです。

 さすがに世の中に「発信」してる人はAだけってことないんですけど、AとB、良くてCどまりなんですよ。
 でも、実際のところは、Cだったり、Dだったり、いや結局Aだったり、伏せ字だらけでなんのことかわかりませんけど(笑)。

 ポイントは、もしなんらかのタイミングでBを知ってしまったなら、Aに一度戻って、その上で真実のDにたどり着くこと。BからA、そしてD。

「Who's B-A-D?」ってそういうことじゃないのか。絶対違いますけど(笑)。

 ともかくマイケルの情報に関しては一応、今、日本で最も直通のラインを持っていて、激動の中に放り込まれたのが僕なんで、色んな情報が錯綜する中で、勘が鋭くなるというか、わかることも多いんですよねー。人間の本質と言うか・・・。「ふーん、なるほど」みたいな。

 ともかく、そういった意味でもマイケルは「先生」です。

 本当に「誠意」というか文字通り「必死」としか言いようがないのですが、僕のライナーだけでなく、歌詞の対訳、本文の対訳も含め、日本人なら理解が深まる日本盤になってると思います。

 皆、制作チームも心からマイケルを愛してますから!

***

 ちなみに「マイケルが亡くなって、彼の意見がわからないのに」どうだこうだ、とか言ってる連中にはこう言いたい。

「ジョン・レノンが亡くなった後にビートルズの版権をゲットして、先輩で友人のポールを悲しませ、映画にジョンの息子のショーンを誘って、その前で楽しそうに〈カム・トゥギャザー〉カヴァーして踊りまくってたのは誰やねん」と。

 でも僕がマイケルに惚れるのは、そこで「負けない」ところだったんですよ。ポールだって沢山の故人の版権を手に入れてビジネスにしている。そこはあまり言われないのに。マイケルがビートルズの版権買った時は、差別感情もあるのかめちゃくちゃ批判されましたね。
 僕は、「俺たちのビートルズを買いやがった!!」って言う、あそこからの嫉妬や反感が、彼の音楽界での居場所を厳しくしたと思います。ビートルズ好きな白人多いですし。

 でもショー・ビジネス、レコード・ビジネスの世界を知り尽くした彼は、結果的に黒人音楽の地位を上げ、ともかく「やりたいことを徹底的に追求し、夢を叶えた!」。その強い部分に心酔するんです。

 ちょっと話はズレましたが(すいません、トランス状態でして)マイケルの未発表曲群もリークされたままネットで散らばっている状態ではなく、きちんとリリースするべきだと、心から思ってます。リークされた音源を聴いておきながら「故人の意思」も何もないですよ(すいません、またまたトランス状態で)。

 本人が亡くなっても、音楽はその時代その時代にアレンジされ愛されてゆく。マイケルはドビュッシーなどクラシック音楽のファンでした。僕もジョン・レノンが亡くなった後に彼のファンになりました。今の子供達は、マイケルが亡くなって映画『THIS IS IT』で知った、という世代も断然に多いのですから。あの映画も公開前は批判の嵐でしたが、結局はマイケル・ジャクソンという天才エンターティナーの後世に残る貴重な記録となった、と僕は思っています。

 さて、今回はL.A.リード(エピック会長)の本気度が伝わってくる人選(ティンバランド、スターゲイト・・・)が、ばしばし決まっている2014年版《エスケイプ》と、マイケルの遺したデモがそのまま収録されているデラックスと、どちらも魅力的なんで、これ以上の方法はないと思います。

 ともかく、アルバムは恐ろしいほどに最高。歌声に酔いしれます。お楽しみに!!

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