ジム「アバディーンについてお聞きします。あなたの生まれ故郷ですよね。」
カート「アバディーンは…シアトルからだいたい100マイル離れたところの沿岸の町。本当に小さい町だよ。
    心の狭い人間がたくさんいて、町はすごく狭い。そこに住んでる以上は林業をやるしかないし、
    そうしたくなきゃ町を追い出されるか、自分で逃げ出すことになる。」

        
「ではあなたの場合も?」
「ああ、俺は自分から逃げ出した。そしたら町の連中、たいまつを持ってアバディーン城まで追いかけてきたんだ。ちょうどフランケンシュタインみたいでさ。それから気球に乗って逃げて、ようやく辿りついたのがシアトルで…」
「メタファーや文学的なたとえ話?」
「夢の話。」

「では具体的に、町を出て行くきっかけになった出来事はあったんですか?」
「うーんそうだな、魔女狩りの始まりは…
 夜、クスリを飲んでトラックにスプレーでラクガキしようとしたんだ。
4台あるトラックの4面に

 『HOMO』って書こうとした。その辺の兄ちゃんが停めてたトラックに。そしたらそのうちの一人と、

 窓越しに目があった。すごい勢いで追いかけてきてそいつが叫ぶんだ『この変態クソガキ!!!』

 って。それはしばらくやってた。
 でもそのとき俺は決めたんだ。
これを本気でやってやろうって。もっとメチャクチャやってやるん

 だって。だからそいつら俺を捕まえても、翌日にはまた追いかけるって感じだったよ」

「捕まったのは警察?それとも、怖いお兄さん達?」
「そうそう、恐いお兄さん達(笑)」
「向こうはあなたに面識があったんですか?」
「全くない。イカれたやせっぽちのガキってだけだよ。学校には行ってなくて、しかもゲイ。」
「だったと?」
「ああコートニーに出会ってなかったらね。そしたら俺はバイだったと思う。」
「ウケる笑!!」
「まあ、その人たちが直接、あなたを町から追い出したわけですよね。」
「そうそう。」
「そのあと地元には戻ったんですか?」
「うーん、ああ最近だけど、物凄くプレッシャーに襲われたときは、とりあえずアバディーンに戻ってる。

 こないだ夜、地元のデニーズに行ったら、クリスが客にからまれたんだ。客がクリスをちらっと見て、

 そのときは何かあるなんて思わなかったけど。あいつがトイレに行った途端、わーーと人が寄ってきて

 『地元のヒーロー!!』とか言い出して。
 で、クリスが覚えてるのは次の瞬間、
テーブルの上でダンスを披露してたことらしい」

要するに地元にいくと悪ノリする体質らしいです>ニルヴァーナ