私の仕事は、老人施設の理学療法士・・・
毎日、毎日、お年寄のリハビリお手伝いを
しているのだが、どちらかと言うと・・・
しゃべくり専門!
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(オレオレ詐欺じゃないよ・・・)
モチのロン、体のケアをしながら、
しゃべくる・・・
手より、口が動く・・・
もう一度言うが、仕事は理学療法士
一応、もぐりではない・・・
はずだが・・・
私が、通所リハビリ(自宅から施設に通ってリハビリする)で
担当してから、6年ほどになる80代のご婦人が、
先日、施設に入所された・・・
12年前に、脳梗塞で左半身麻痺となるが、
シルバーカーを押して歩ける状態で、ご主人の
介護を受けて、自宅療養されていたのだが、
その、ご主人が入院してしまったため、
奥様のお世話ができなくなり、入所となった・・・
ご夫婦ともに、教職につきご主人は、
校長先生まで務められ、退職後は、
趣味の畑仕事と愛妻の介護を
献身的に行っていたのだが、
思いがけず、重い病に倒れてしまった・・・
病名は 「肺癌」
すでに、全身転移した状態で、オペは
不可能・・
いつも、明るいご婦人が、ため息ばかり
つくようになってしまった・・・
「お父さんより私が、先に逝く予定だったのに・・・
お父さんは12年も私の世話ばっかりして、あげくのはてに
あんな病気になって気の毒したな・・・」
リハビリの時に、ポツリ・・・
本当は、1番近くにいてご主人のお世話を
してあげたいと思っているのに、自分の体が
自由にならず、もどかしくてしょうがない・・・
言葉には出さないが、手に取るように
彼女の気持ちが伝わってくる・・・
「ご主人の面会に連れて行ってもらったら
どうですか?」
・・・と、言ってはみたが、「面会には来るな」と
ご主人に言われているとのこと・・・
自分が12年も介護してきた妻・・・
自分がいないと何もできない妻・・・
痩せて弱った体を、病気の妻に見せて、
心配させたくない・・・
ご主人の気持ちも伝わってきた・・・
「私毎日、お父さんに
ラブレター書いてるんよ・・・」
書いた手紙を息子さんや、お嫁さんに
届けてもらっているとのこと・・・
「私はやっぱり、ご主人が来るなって言っても
Sさんが、会いたいと思うなら会いに行くべきだと
思います・・・」
これは、職員としては差し出がましい個人の意見
でしかない・・・
きっと、言ってはいけなかったんだろうな・・・
でも、もしかして2度と会えないかもしれないご主人に
今、会って話さずにSさんは、後悔しないのか・・・
ご主人の様態が急変すれば、言葉を交わすことも
できなくなる・・・
今ならまだ間に合うのに・・・
そう思うと、言わずにいられなかった・・・
「そうだろうか・・・
そうかも、しれんな・・・
けど、時々もの忘れしたり、
ボーッとすることがあるらしいけん
私の顔見てもわからんかも・・・」
Sさんがやせ細ったご主人と会って、
もし自分の顔もわからなくなってしまって
いたらその後のショックは、どれほど
大きいものだろう・・・
この現実にSさんが耐えられるのか・・・
でも、Sさんには今、ご主人と
会ってほしい・・・
話したいことを全部、話してきてほしい・・・
私はそう願っている・・・
今日のリハビリから帰るSさんが・・・
「日曜日、お父さんに会ってくるわ・・・」
・・・と



