「のんサン」

仕事も無事終わり、解放感に満ちた社内。

そこここで、女性同士の弾けた会話が溢れている。

そんな時

普段余り会話のない『Iチャン』から声をかけられた。

「あのね。ワタシ、のんサンに謝らなきゃいけない事があって・・・・」


年下だけど、ワタシよりセンパイの彼女。
入りたての頃は、優しく色々教えてくれた。

目がくりっとしていて、聡明そうな額をもち、笑うと八重歯が可愛かった。背は150あるかな。

服装は、そうだな・・・soup系?

すでに人妻なのに、カジュアルながらも清楚で愛らしい。


そんな彼女が今、その大きな瞳をふせ、なぜか頬を赤らめて目の前に立っている。



「あのね」



「ん?どしたの?」
ニッコリ聞き返す。



「夢にね・・・・旬クンが出てきたの・・・・」



はい?
はいはい?



「旬クンに・・・抱き締められちゃった!」


ん?ん?どしたー
耳の調子がおかしーよー

「ゴメンね~なんか。結構力強く抱き締められちゃって・・・」


あなたは確か、Jではなかったでしょうか。
亀チャンLoveだったのは、幻でしょうか。


・・・・よろけそうな自分を奮い立たせ
「ふ、ふーん。ワタシの夢には出てきてくれないんだよね~」

「アレだょね。想いが強過ぎるとダメッて言うもんね♪」


いやいや。だから、なぜ顔が赤いッ?


「そ、そーかなぁ~。あははは」

「きっといつか見れるよ。でもなんか悪くて、今日はのんサンの顔が見れなかったの~」

「はぁ~~~ッ・・・頑張るょ・・・」

「ホントにゴメンね~」


それでも本当にすまなさそうに、尚も謝りながらIチャンはその場を離れていった。


たかが、夢の話ではないか。


なのに・・・謝られるほどに募る、この敗北感。


Iチャンは悪くない…Iチャンは悪くない…




自分は大人だと言い聞かせ、よろよろと帰り支度をしていると

ダメ押しの一言が、。











「なんか感触がまだ残ってるの~~ッ♪」








ばたッ。





初めて、天使の顔を持つ悪魔を見ました。






そして、とぼとぼと
夢に出てきてもそれ程嬉しくもない、ミッチーの待つ家路へと向かいました。




・・・そぼ降る雨に濡れながら・・・・・・



今夜は、一緒に泣いてくれませんか…