一人暮らしの男の生活なんて、見せられたものでもないが、自分は特にひどい(らしい)
部屋が片付いているとは思っていなかったが、大学のゼミの先輩が家に来た時に絶句してゴミ出しだけするとそのまま帰ってしまった程だ。
本当は始発が走るまでここで休むはずだったがすぐに帰りたいと言ってタクシーに乗って帰ってしまった。
彼は彼で潔癖の節がある。
やってもやっても終わらない仕事を切り上げ、時計は1時を過ぎたところ。
本来ならばシャワーを浴びて寝てしまいたいが、明日着ていくシャツやら靴下やらが無い。
下着もなかったのでしぶしぶさっき着ていたものをとりあえずは着たほどに気づいてみたら着られる衣類が無かった。
しかも、最悪なのは今結構強めの雨が降っているのだ。
声混じりのため息を大きく吐き、しぶしぶ洗濯機を回した。
(洗濯物を干すことが苦なのでスホはいつも溜め込んだ衣類の洗濯だけを家でして、乾燥は近所のコインランドリーで一気にやるようにしていた)
普通のマンションだからこれくらいは隣人さまの迷惑にはならないだろう。
洗濯をしている間にシャワーを浴び、濡れた髪を乾かす前に上司から入ったチャットでの連絡に返信をしていると、洗濯が終わった音が鳴った。
既に2時を過ぎている。
とにかく早く眠りたいので濡れた洗濯物を袋に放り込み肩に担いで、マンションから徒歩2-3分のコインランドリーに早足で向かった。
衣類を大型乾燥機に放り込み、簡易な椅子に腰掛け上司から指示のあったデータをスマートフォンで確認する。
うーん…確かにこの数字は少しおかしいな…
部屋に戻ったら関数なんかも確認しなくてはならないかもしれない。
つい頭を抱えると髪がまだ濡れているし首にタオルを引っ掛けたまま出てきてしまったらしい。
スホはヤケ気味にタオルで髪を拭きくるくる回るドラムの中の衣類を見るともなしに眺めた。
ガタン、と静かな音がしてドアが開き、外から派手な格好の若者が入ってきた。
シルバーががったパープルの髪の毛でオーバーサイズのストライプシャツにダメージジーンズ。
180cmは余裕でありそうな長身とそれに反して小さな顔。
しかもその顔が恐ろしいくらい整っている。
大きなきらきらした瞳と目があってしまって、スホは自然な素振りで手元のスマートフォンに目を落とした。
若者は既に止まった乾燥機の前に立ち、服を取り出しているようだった。
スホはこっそり彼の後ろ姿を見た。
…モデルか何かか…?
と思うほど、ちょっと見ないようなレベルのイケメンなのだ。
正直言ってスホ自身もイケメンと言われる方だが、"素朴な"という形容詞が前につくような、地味な方の顔だと思っている。
一方この若者は、ソウルの都会が似合うような洗練された顔のイケメンだ。
ピコン、という通知音が手元のスマホから鳴り、今度はアシスタントからの確認依頼の連絡だった。
スホは思わず寄った眉間を指で抑えた。
転職したら、二度とコンサルなんて仕事には就くものかと誰にいうでもなく心の中で思う。
ほんわり温かい感触を頭に感じて、ぱちくりと目を開けると、例のイケメンが目の前にいて、座っているスホと目線を合わせるように中腰に屈んでいた。
頭には乾燥機から出したてのまだ温もりがあるふわふわの白いタオルがかけられいたのだった。
「髪が、まだ濡れているみたいなので…よかったら使ってください」
突然のことで、ぱちくり、と瞬きをするだけで声が出ない。
「いつも遅い時間に来てますよね?何度か見かけたことがありますよ」
「えっ、俺を…?」
イケメンはにっこり笑ってタオルの上から髪を乾かすように撫でられる。
「かっこいいのに、いつも難しい顔でスマホ見てるからなんか気になって…風邪を引かないように暖かくしてくださいね」
そのまま立ち去ってしまったイケメンを口を開けて見送る。
意図せず借りてしまったタオルを一瞥し、髪をがしがしと拭う。
あんな派手な奴、何度か見かけてれば印象になる残りそうなものだけれど、、と記憶を辿るがやはり思い出せない。
自分の衣類の入ったドラムを見ると終わっていたので慌てて袋に入れて部屋に戻る頃には、コインランドリーのイケメンのことは忘れていた。
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エクソのスホさんにハマりまして、
意味のわからない話をコインランドリーの待ち時間で書いてしまいました。。
実はチャニョルは芸能人で、普段クソダサい見た目なのでスホさんに認識されてなかったという設定。