わたしを離さないで/カズオ イシグロ
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話題のこの作品。


翻訳ものとくゆうの語り口というか、なんというか

いつも海外文学を読むと最初慣れずにちょっと面倒になります。


これも最初は、結構単調だなぁー、そして意味がよくわからないWord(介護人や提供者など)

がそのままに語られるので、最後まで読みきれるか?なんて

思っていたのですが。

ほんとうに徐々に徐々明かされていく、子供たちの素性、使命、運命に

息を呑みました。


大きな事件にしたり、ここぞ!とばかりの告白があるわけではない(ラストにはありますが

それも静かなものに私は思えました)ままに、それでも最初から読んでいた読者

は謎が解けたと同時に大きな驚きと悲しみ。そして恐怖のようなものを覚えます。


読んでいて楽しくて面白くて次が読みたい!とさくさく進む本ではとても言えない本であったのに、

読後に心に残るものというのは、ある意味淡々とした彼女たちの生活であったり会話であり。

その蓄積で、今いる自分と寸分違わず人を愛する気持ちや感情、生きることへの切望があったことを

感じることで、より一層やるせない気持ちになるのだと思います。



あまりにも悲しい運命の元に、作り出された生。

他の人々と同じように感じ、悩み、愛して輝いたものであるのに。



読み終わったあとも、静かな気持ちでずっしり重く考えさせられました。